サムスン電子はフォルダブルフォンのバックプレートにチタンを採用


2025年5月15日 The Elec

 

サムスン電子が下半期に発売予定のフォルダブルフォン「Galaxy Z Fold7」と、2回折りたたむタイプのフォルダブルフォン(トリプルフォールド)のバックプレート(支持部)素材としてチタンを使用する計画であることが、15日に明らかになった。サムスン電子がフォルダブルフォンのバックプレートにチタンを使用したのは、昨年の「スリム」モデルであるGalaxy Z Fold SEが初めてとなる。

 

バックプレートは、フォルダブルパネルとヒンジの間で支持部の役割を果たす。フォルダブルフォンのバックプレートには、ヒンジの動作を支えるため、折りたたみ部にエッチング(食刻)工程などを追加する。業界では「内蔵ヒンジ」というマーケティング用語で呼ばれる部品が、フォルダブルフォンのバックプレートに相当する。バックプレートには、ヒンジメカニズムを構成するためのギアや軸、フリーストップ機構などの構造は含まれない。

 

サムスン電子がブックタイプのフォルダブルフォンであるGalaxy Z Fold7およびトリプルフォールドモデルにチタンバックプレートを採用する理由は、製品の薄型化にある。チタンは加工が難しい一方で、軽量かつ高い強度を持つ。中国のスマートフォンメーカーの主導により、スリムなフォルダブルフォンはひとつのトレンドとなっている。

 

また、サムスン電子は2021年のGalaxy Z Fold3から2024年のZ Fold6まで、スタイラス(Sペン)の認識を可能にするために搭載してきたデジタイザー(フレキシブル回路基板)を除去することで、製品を薄型化できる。2024年のZ Fold6に搭載されていたデジタイザーの厚さは0.3mmであり、フォルダブルパネルの両側にそれぞれ一枚ずつ配置されていたデジタイザーを取り除けば、折りたたんだときの製品厚を0.6mm減らすことが可能となる。

 

サムスン電子は2021年から2024年まで、Z Foldシリーズにデジタイザーを使用したスタイラス対応機能を提供するにあたり、バックプレート素材を従来の金属素材であるSUS(ステンレス鋼、2019年のGalaxy Foldおよび2020年のZ Fold2)から、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)に変更した。これは、SUSがデジタイザーを用いたスタイラス認識を妨害(干渉)したためだった。

 

サムスン電子が昨年下半期に発売した「スリム」フォルダブルフォンGalaxy Z Fold SEはスタイラス認識をサポートしておらず、デジタイザーは搭載されていなかった。バックプレート素材もCFRPではなくチタンを採用した。チタンはSUSより加工が困難だが、軽くて強度が高い。サムスン電子のフォルダブルフォンでチタン製バックプレートが採用されたのはこのモデルが初めてだった。

 

Galaxy Z Fold SEの折りたたみ時の厚さは10.6mmで、Z Fold6の12.1mmよりも1.5mm薄かった。これは、デジタイザーを除去して0.6mm薄くしたことに加え、薄型の内蔵材を新たに適用した結果と推定される。Z Fold SEの昨年の出荷台数は20万台から30万台と見られている。

 

サムスンディスプレイはこれまで、デジタイザーなしでスタイラス認識が可能な技術を開発してきた。デジタイザーを用いずにスタイラスを認識する技術はAppleなどが採用しており、この方式ではスタイラス側にバッテリーが内蔵される。サムスンディスプレイと協力してきたハイディープ(HyDeep)の技術は、今年サムスン電子が発売予定のGalaxy Z Fold7およびトリプルフォールドモデルには適用されない。

 

今年下半期に発売が予定されているサムスン電子のクラムシェルタイプのフォルダブルフォンGalaxy Z Flip7およびZ Flip7の派生モデル1種については、従来通りSUSバックプレートを使用する。Z FlipシリーズはZ Foldシリーズとは異なり、これまでスタイラス認識機能に対応した事例がない。