テレビ用LCD価格、中国パネルメーカーがわずかな利益を出す水準で推移


2025年6月10日 The Elec

 

テレビ用液晶ディスプレイ(LCD)の価格が、中国のパネルメーカーがわずかな利益を残せる水準で維持されているという分析が出た。市場調査会社カウンターポイントは9日(現地時間)、過去にはテレビ用LCDの価格変動幅が大きかったが、2023年半ばから安定的に維持されていると明らかにした。

 

過去には中国のパネルメーカーがLCD市場シェアを増やすため、低価格・物量攻勢を展開したが、韓国のパネルメーカーがテレビ用LCD市場から撤退したことで競争相手が減った。需要と供給に影響されるLCD価格の変動幅も小さくなった。何よりも、市場主導権を握った中国のパネルメーカーがLCDの供給量を調整できる。

 

サムスンディスプレイは2022年にLCD事業から完全に撤退した。LGディスプレイは2022年末に国内LCD工場のテレビ用LCD生産を中止し、中国広州LCD工場では今年3月までテレビ用LCDを生産した。サムスンディスプレイの蘇州LCD工場、LGディスプレイの広州LCD工場はいずれもCSOTが買収した。

 

カウンターポイントは、最近数年間のテレビ用LCDの価格帯は、中国のパネルメーカーの立場から見ると、自国政府の補助金を考慮すれば、わずかな利益を残せるレベルだと明らかにした。台湾のパネルメーカーは損益分岐点に近づけるだろう。カウンターポイントは、現在の価格水準ではパネルメーカーが大幅な収益を上げるのは難しいが、過去数年間の供給過剰期に経験した莫大な損失よりははるかに良いと評価した。

 

面積あたりのLCD価格も2年以上狭い範囲に留まっている。2023年7月から2025年8月まで、43インチLCDの1平方メートルあたりの価格は118~129ドルである。49・50インチと55インチ、65インチ、75インチなどの1平方メートルあたりの価格は139~167ドルだ。85インチLCDの1平方メートルあたりの価格は177~185ドルである。

 

2023年7月~2025年8月の画面サイズ別LCD TVパネル価格推移(資料=カウンターポイント)
2023年7月~2025年8月の画面サイズ別LCD TVパネル価格推移(資料=カウンターポイント)

 

LCD TVパネル価格指数(2014年=100基準)も、2023年半ばから変動幅が小さい。2025年5月まで22ヶ月間、この指数は41.8から45.6の間を推移した。今年3月から5月は44.7、8月の予想値は42.4だ。

 

コロナ19が盛んだった2021年にはこの指数は80台半ばまで上昇し、2022年9月(過去最低点)には30まで急落した。LCD特需を享受した2020年から2022年のコロナ19期間と比較すると、2023年のエンデミック以降のLCD TVパネル価格指数の変動幅は小さくなった。

 

LCD TVパネル価格の推移と要因

今年第1四半期のテレビ用LCD価格は、昨年第4四半期より平均2.8%上昇した。第1四半期には、米国政府の関税政策不確実性に備えたセットメーカーのLCD在庫備蓄需要、中国政府の補助金支給によるテレビ販売拡大などの影響を受けた。

 

第2四半期のLCD平均価格は、ほとんどの画面サイズで第1四半期よりも高いと推定された。5月の主要画面サイズのLCD価格は、前述のカウンターポイントの予測を上回り、4月とほぼ同じだった。5月に価格が下落しなかったサイズのLCDは、6月から第3四半期にかけて価格下落が続くと予想された。

 

カウンターポイントは、2023年夏から最近までLCD価格はそれぞれ3回の緩やかな上昇期と下落期があり、現在は3回目の下落局面の中間だと診断した。現在の下落局面は、第3四半期末か第4四半期初めに底を打つと予想している。

 

主要パネルメーカーの業績

世界のLCD最大手であるBOEの第1四半期営業利益は22億7692万人民元(約4300億ウォン)だ。前年同期(5億8627万人民元)の3.8倍だった。LCD売上がないサムスンディスプレイの第1四半期営業利益は4600億ウォン、テレビ用LCDの生産を最後に終えたLGディスプレイの第1四半期営業利益は300億ウォンだった。

 

2015年1月~2025年8月のLCD TVパネル価格指数(資料=カウンターポイント)
2015年1月~2025年8月のLCD TVパネル価格指数(資料=カウンターポイント)