2025年6月24日 The Elec
TCLやハイセンスなどの中国家電企業がプレミアムTV市場で急速にシェアを拡大し、首位のサムスン電子を猛追している。一方でサムスン電子は、2025年1~3月期にプレミアムTV市場で首位を維持したものの、出荷台数と売上高シェアの両方が前年同期比で低下した。
23日、市場調査会社カウンターポイントは「2025年1~3月期にTCLとハイセンスのTV出荷量が前年同期比で2倍以上に増加した」と発表した。また「同期間の世界プレミアムTV出荷量は前年同期比44%、売上は35%増加し、TCLとハイセンスがその成長の大部分を占めた」と説明した。
ここでいうプレミアムTVには、有機EL(OLED)TV、ナノセル(NanoCell)TV、ミニLED TV、液晶ディスプレイ(LCD)に量子ドット(QD)フィルムを貼付したQLED TV、8K LCD TV、マイクロLED TVなどが含まれる。ミニLED、QLED、8K LCD TVなどはハイエンドLCD TVとして分類される。
2025年1~3月期のプレミアムTV市場におけるサムスン電子の出荷シェアは28%で、前年同期の39%から10ポイント低下した。同じ期間の売上シェアも38%から30%へと8ポイント下落した。
カウンターポイントは、TCLとハイセンスの主要な成長原動力は中国市場だと分析した。中国政府の補助金と企業による積極的なマーケティングを背景に、過去1年間で中国のプレミアムTV売上は3桁成長を示した。中国の消費者はより大きく高価で先進技術を搭載したTVを購入している。
TCLとハイセンスは中国市場にとどまらず、他の主要地域市場でも売上とシェアを拡大させた。TCLとハイセンスの売上はそれぞれ前年同期比で74%、87%増加した。
両社のプレミアムTV市場全体でのシェアも上昇した。TCLの出荷シェアは前年同期の13%から2025年1~3月期には19%に、売上シェアは13%から16%に上昇した。ハイセンスの出荷シェアは14%から20%、売上シェアは13%から17%へと増加した。中国のシャオミやスカイワースも大きな成長を見せた。
カウンターポイントは、中国企業の急成長の要因として、超大型ミニLED TV戦略を挙げた。TCLは2019年に初めてミニLED TVを発売した。サムスン電子は2021年にミニLED TVを投入し、2023年まで市場をリードしていたが、2024年にはTCLをはじめとする中国企業に押された。中国企業はLCD生産の競争力を活かしてコストを削減し、それをもとに超大型ミニLED LCD TVを積極的に販売した。
カウンターポイントは、「ミニLED TVはOLED TVと価格帯が似ているが、消費者はより小型のOLEDとより大型のミニLEDのどちらを選ぶかという選択に直面する」とし、「ますます多くの消費者がミニLED TVを選択している」と指摘した。
ミニLED TVはスーパー・プレミアムTV市場での存在感を高めており、2024年4~6月期には出荷量と売上の両面でOLEDを上回った。超大型TVも2025年1~3月期のTV市場成長を牽引しており、75インチ以上の高級TVの出荷量は前年同期比で79%、売上は59%増加した。