BOE、合肥政府のB9持分撤収に反対…Visionoxへの資金移動に敏感


2025年7月3日 UBIリサーチ

 

ViPに続きFMMベースのVisionox投資への転換の可能性を懸念

 

BOEは、合肥(Hefei)地方政府が推進しているB9 OLED工場からの持分撤退の動きに反発している。合肥市政府は約200億元規模のB9工場の持分からの撤収を進めており、その資金が競合企業であるVisionoxのV5ラインに投入される可能性が指摘され、BOEは資金再配分の行方に神経を尖らせている。

 

現在、VisionoxはV5ラインで独自のViP(Visionox intelligent Pixelization)技術を適用した7.5K規模の投資を進行中である。当初はViP + FMM方式による15K投資を計画していたが、資金問題によりFMM方式の投資スケジュールは保留となっていた。しかし、B9撤退資金がVisionoxに移る場合、ViPラインに続いてFMM(ファインメタルマスク)方式による追加の7.5K投資も行われる可能性がある。これはBOEにとって中長期的に市場シェアおよび競争力への直接的な脅威となる可能性がある。

 

このような理由から、BOEはB9工場の持分撤退に反対し、合肥地域でのOLED投資の主導権を維持しようとしている。BOEは、B9の持分を活用して新規ライン投資やライン増設なども社内で検討中である。一方、合肥市政府も地域内のディスプレイ産業の再編を目的とした新たな投資構想を検討しているとされる。

 

合肥政府の投資撤収および資金再配分の問題は、単なる財政調整ではなく、中国OLED産業における技術・資金・生産能力の重心移動を示唆している。BOEとVisionoxの間の競争は、今後OLED市場での主導権獲得を巡る戦略的対立に発展する可能性が高い。

 

BOEのパネル生産団地(写真=BOE)
BOEのパネル生産団地(写真=BOE)