BOEの8.6世代IT用OLEDライン(B16)に収率の課題


2025年5月14日  UBI Research

 

中国BOE(京東方)は2024年3月、四川省成都市に総額630億元(約12兆4千億ウォン)を投資し、IT用8.6世代(2290×2620mm) OLED生産ラインであるB16の建設に着手した。 同ラインは、月3万2千枚のガラス基板処理能力を備える予定である。

 

BOEは2024年4月、 ソニックシステムズ(Sunic System)の水平蒸着装置を発注し、2025年5月にはB16ラインにアバコの蒸着装置内搬送システムと Sunic Systemの水平蒸着装置など主要製造装置が搬入される予定である。

 

サムスンディスプレイが8.6世代ラインでガラス基板のハイブリッドOLED工程を適用するのとは異なり、BOEは約4兆1千億ウォン規模であるサムスンディスプレイの投資金の約3倍に達する金額を投資し、フレキシブル基板とガラス基板の両方をサポートできる工程設計を導入した。 これにより、B16ラインではIT用パネルだけでなく、スマートフォン用のフレキシブルOLEDパネルの生産も可能になると予想された。

 

しかし、BOEがB16ラインでスマートフォン生産の経済性を検討した結果、8.6世代ラインでは450ppi以上の高解像度FMM(Fine Metal Mask)工程で収率確保が難しく、FMMコストも急上昇したため、既存の6世代ラインに比べて効率が低いという結論を下したようだ。

 

B16ラインの最初の量産製品は、中国内ブランド用ノートパソコン用パネルが予想され、Apple用の14.8インチMacBook用パネルの開発も進行中である。 一方、iPad用11インチパネルはB12(6G)ラインで開発が行われている。

 

BOEは、B16ラインでのスマートフォン用OLEDパネルの生産効率が低いと判断し、自動車用ディスプレイなどの代替応用先を模索している。