2025年7月22日 UBI Research
中国のVisionox社は、V5プロジェクトの主要インフラ工事を順調に進めており、次世代OLED生産に向けた準備が本格化している。これとあわせて、日本のSEL(半導体エネルギー研究所)と戦略的な特許ライセンス契約を締結し、核心技術の確保において重要な進展を果たした。
Visionoxが安徽省合肥市に構築中のV5ラインは、従来のFMM(ファインメタルマスク)工程から脱却し、マスクレスOLED生産を中核目標としている。このために推進中のViP(Visionox intelligent Pixelization)技術は「マスクレスOLED」として正式名称を変更し、次世代の高解像度OLED製造方式としての地位を確立しつつある。
最近では、VisionoxはV5工場の屋根工事を無事に完了し、主要設備設置のための基礎工事も終えた。主要プロセス装置である蒸着装置は、Applied Materialsの子会社であるAKTに発注済みであり、露光装置(Nikon)、イオン注入装置(Nissin)、ELA装置などの発注も順次進められている。V5ラインの最終投資決定に向けた技術委員会の審議も、前向きに進行している。
一方、Visionoxは最近、SELとの間でOLED関連の核心特許に関するライセンス契約を締結した。SELは、LTPS(低温多結晶シリコン)や酸化物TFT、OLED駆動に関する基礎特許を多数保有しており、「MML(メタルマスクレスリソグラフィ)」方式のリソグラフィOLED工程を開発している。今回の契約により、Visionoxは自社のマスクレスOLED技術や高解像度パネル設計において、国際的な特許リスクを低減し、技術競争力を強化できるようになった。
VisionoxのマスクレスOLED技術は、Applied Materialsが開発した「OLED Max(フォトリソグラフィ)」技術をベースとしている。SELの技術ではリソグラフィ工程の後にカソード工程を行うのに対し、OLED Max技術ではカソードと封止(encapsulation)を形成した後にリソグラフィ工程を行うという違いがある。SELの技術は、OLED材料の寿命が低下する可能性が高い一方で、プロセスの歩留まり向上が容易であるという利点がある。
SELとの提携は、Visionoxが推進する次世代OLED技術の商用化における重要なマイルストーンになると見られている。
Visionoxは今回のV5プロジェクトの進展とグローバルな技術提携の拡大を契機に、昆山国家級研究所の設立、AMOLED応用の多様化戦略、資産効率化などを通じて、技術中心の持続可能な成長とグローバルOLED市場でのリーダーシップ強化を続けていく方針である。