2025年のXRディスプレイ市場は、ARスマートグラスがイノベーションを推進するため、緩やかな成長が見込まれる


2025年5月9日 Display Daily

 

調査会社カウンターポイントによると、世界のXRディスプレイ市場は2025年に前年比6%の成長が見込まれ、2024年に大幅な縮小を見せた後の回復傾向を示している。

 

全体としての市場成長は緩やかだが、拡張現実(AR)ディスプレイは42%の急増が予測されており、仮想現実(VR)ディスプレイの成長率2.5%と比べて大きな差がある。この不均衡な成長の背景には、従来のメディア視聴用途ではなく、AI機能を活用した応用に焦点を当てた新型のARスマートグラスの登場がある。

 

今回予測される成長は、昨年の市場縮小からの部分的な回復にすぎず、メーカー各社が在庫整理と事業戦略の見直しを進めた影響が依然として残っている。パネル出荷量は増加傾向にあるものの、2023年の水準を大きく下回る見通しとなっている。

 

 

VR分野では、液晶(LCD)技術が依然として主流であり、2025年には出荷量の87%を占めると予想されている。LCDは、低価格のエントリーモデルから量子ドットやMiniLED強化を施した高級機まで、価格帯を問わず適応できる柔軟性が強みとなっている。AR分野では、OLED-on-Siliconディスプレイのシェアが75%に低下し、MicroLEDやLCoSなどの代替技術が台頭してきている。MetaやGoogleはMicroLEDを用いたスマートグラスのプロトタイプを公開しているが、商用化の計画はまだ明らかにされていない。一方で、中国メーカー数社やヨーロッパのEven Realitiesなどは、ウェーブガイド技術を用いたMicroLED搭載の軽量ARグラスをすでに市場に投入している。

 

カウンターポイントは、2026年も同様の成長傾向が続くと予測しており、ARディスプレイの出荷量が38%増加し、VRは2.1%の小幅な成長にとどまると見ている。ただし、米国による中国製品への関税措置が、市場見通しに大きな不確実性をもたらしているとも警告している。