アメリカ政府の関税政策により、世界のスマートフォン出荷台数は今年減少する見込み


2025年5月5日 The Elec

 

シグマインインテルは、今年の世界スマートフォン出荷台数が昨年より減少すると予測した。アメリカ政府の関税政策が主な要因であり、さらに各国の報復関税を加味すると、出荷台数はより一層落ち込む見込みとなっている。

 

市場調査会社シグマインテルが先月下旬に発表した「電子製品・半導体に及ぼす関税の影響」報告書によると、今年の世界スマートフォン出荷台数は関税の影響により最大で11億台にまで減少する可能性があるとした。

 

関税を考慮しない場合、今年の出荷台数は12億740万台と予測されていた。これは昨年の出荷台数11億8430万台より2310万台(2.0%)多い数値である。

 

しかし、アメリカによる関税を考慮すると、今年の出荷台数は11億4340万台に減少し、さらに相手国の報復関税まで含めると11億440万台にまで落ち込む見通しとなる。11億440万台という数字は、昨年の出荷台数より7990万台(6.7%)も少ない。

 

メーカー別の出荷台数見通しも下方修正された。たとえば、今年のサムスン電子のスマートフォン出荷台数は当初2億2150万台とされていたが、報復関税の影響を含めると2億870万台にまで縮小する可能性があるとシグマインテルは分析している。サムスン電子の昨年の出荷台数は2億2320万台であり、当初の見通しも前年より減少していたが、関税が加わることで減少幅がさらに拡大すると予想されている。

 

同様に、アップルの当初の出荷台数見通しは2億1600万台だったが、アメリカの関税を考慮すると2億320万台、報復関税まで含めると2億200万台にまで下がるとされた。アップルの今年の出荷見通しも、すでに昨年(2億1710万台)より少ないものであった。シャオミ、オッポ、ヴィーヴォなど中国のスマートフォンメーカーも同様に出荷台数が減少すると見込まれている。

 

アメリカのスマートフォン市場におけるメーカー別のシェアは、昨年はアップルが49.9%、サムスン電子が21.4%、レノボが9.4%、グーグルが4.7%、TCLが4.6%の順であった。前年と比べてアップルのシェアは変化なく、サムスン電子は0.1%減少した一方で、レノボとグーグルはそれぞれ1.7%、0.6%増加し、TCLは2.0%減少した。

 

また、昨年のメーカー別出荷台数におけるアメリカ市場の比率は、アップルが28.4%(6170万台)、サムスン電子が12.7%(2830万台)、レノボが21.7%(1280万台)、グーグルが47.5%(600万台)などであった。

 

各社の中国における生産比率は、サムスン電子が13%、アップルが87%、シャオミが60%、オッポグループ(リアルミ含む)が80%、ヴィーヴォが70%となっている。サムスン電子は残り87%の製品をベトナム(40%)、インド(24%)、インドネシア、ブラジル、韓国などで生産している。アップルは残る13%をインドで生産している。

 

シグマインテルは明確に記述していないが、サムスン電子の13%は中国での合弁生産(JDM)と見られる。

 

先月13日(韓国時間)、アメリカ政府はスマートフォンやコンピューターを相互関税の対象品目から除外すると発表した。これに先立ち、9日午後1時1分に発効した国別の相互関税に対し、10日には基本関税10%のみを維持し、相互関税の適用を90日間猶予するとした経緯がある。13日にスマートフォンなどを対象から除外したものの、別の形態の関税が適用される可能性があるとの見方もある。