サムスンディスプレイのQD-OLEDをプレミアム向けから汎用製品にまで拡大


2025年5月12日 News Pim

 

サムスンディスプレイが、プレミアムディスプレイ技術であるQD(クォンタムドット)-OLEDを前面に押し出し、大型モニター市場の攻略を本格化させている。最近では、27インチUHD解像度のQD-OLEDパネルを搭載したモニターが発売されたのに続き、ゲーミングや専門的なIT需要を狙った「超高リフレッシュレート」製品群も相次いで公開される予定と伝えられている。

 

これまでプレミアム製品群に集中してきたQD-OLED戦略を汎用製品にまで拡大することで、市場における技術の主導権を確保しようとする戦略とみられる。

 

サムスンディスプレイの27型、31.5型、34型、49型QD-OLEDが搭載された最新モニター製品[写真=サムスンディスプレイ]
サムスンディスプレイの27型、31.5型、34型、49型QD-OLEDが搭載された最新モニター製品[写真=サムスンディスプレイ]

 

12日、市場調査機関オムディアによると、昨年の世界のモニター向けOLEDパネル出荷台数は約200万台と集計された。

 

このうち143万台がQD-OLEDであり、サムスンディスプレイの市場シェアは71.2%に達したことが分かった。

 

QD-OLEDは、黒の表現力に優れた従来のOLEDの利点にQD技術を融合させ、LCDや従来のOLEDに比べて色再現性、明るさ、応答速度など全体的な性能を向上させた。こうした特性により、ゲーミングやコンテンツ制作といった高性能ディスプレイ需要の高い市場で注目を集めている。

 

2021年に世界で初めてQD-OLEDの量産に成功したサムスンディスプレイは、今年初めにモニター向け27インチUHD製品を発売させた。従来の27インチ製品に比べて画質が鮮明で、解像度も160PPIと、自発光型ゲーミングモニターとしては最も高い水準を実現している。

 

このほか、上半期中に発売される予定の27インチQHD製品は500Hzのリフレッシュレートを備えており、高いリフレッシュレートの影響で従来製品よりも画面の切り替えがはるかに速くなると予想されている。

 

ディスプレイ業界関係者は「ゲーミングおよびコンテンツ制作市場において、OLEDの需要をQD-OLEDが急速に置き換えている」と述べ、「高解像度かつ超高リフレッシュレートのラインアップが増えれば、市場シェアはさらに拡大する」との見通しを示した。

 

QD-OLED製品はサムスンディスプレイの2025年第1四半期の業績にも好影響を与えている。今年第1四半期の売上は5兆9000億ウォンで前年同期比9%増加し、営業利益は5000億ウォンと前年同期比67%拡大させた。内訳を見れば、中小型パネルは季節的な閑散期の影響で業績が後退したものの、大型パネルはQD-OLEDモニターの新製品発売によって業績が改善した。

 

サムスンディスプレイのホ・チョル副社長は第1四半期の業績発表で「大型ディスプレイ事業において新製品が市場で好反応を得て、需要が持続的に拡大した」と述べ、「新製品中心の製品運用によってモニターは2桁以上の販売増加を記録し、収益性の改善に貢献した」と説明した。

 

サムスンディスプレイは2025年第2四半期も市場拡大を見込んでいる。QD-OLEDを基盤とした大型ディスプレイ事業の安定化に加え、高リフレッシュレートモニター製品の発売も予定されているためである。

 

特にQD-OLED製品をプレミアムモニターだけでなく、より手頃な汎用製品にまで拡大する計画を立てている。

 

さらにB2Cだけでなく、B2B市場の拡大も併行して進めている。放送・編集機器やデザインなどの分野で高精度な画面を必要とする企業ニーズを狙った供給の拡大が本格化しているためである。

 

サムスンディスプレイ関係者は「QD-OLEDの需要はプレミアムTVおよびモニター市場で、差別化された画質と優れた性能によって持続的に拡大している」と述べ、「製品ラインアップを高解像度・超高リフレッシュレートのプレミアムモニターだけでなく、メインストリーム(汎用)にまで広げ、販売領域をB2CとB2Bモニター市場に拡大する計画だ」と明らかにした。

 

続けて「モニター市場におけるOLEDへの技術転換を加速させ、QD-OLEDの技術的優位をさらに強固にしていく努力を続ける」と強調した。

 

なお、サムスンディスプレイはQD-OLED技術のブランドアイデンティティ(BI)を公開し、商標出願の準備も進めている。