2025年8月11日 Wit Display
合肥国顕科技有限公司(以下「合肥国顕」)の第8.6世代AMOLED生産ラインプロジェクトにおいて、主工場の建屋が無事に上棟を迎えた。
このプロジェクトは、世界初となるFMM(精細金属マスク)を使用しないViP技術を搭載した高世代AMOLED生産ラインであり、工事の迅速な進展はViP技術の大規模量産に向けた大きな一歩を意味する。
今回の節目は、新型ディスプレイ技術の実用化スピードを塗り替えるだけでなく、中国が高級ディスプレイ分野における自主的なイノベーション能力を力強く示すものとなった。
FMMレス技術を搭載した初の第8.6世代AMOLED生産ライン、予定より早く上棟
世界初となるFMM(精細金属マスク)レス技術を採用した第8.6世代AMOLED生産ラインが、中国・合肥新駅ハイテク区にて建設されている。この生産ラインは、合肥国顕が建設・運営を担当し、合肥国顕は維信ノ(Visionox)と合肥市の投資プラットフォームの共同出資によって設立された。技術面では、維信ノと合肥国顕が緊密に協力して推進する。
総投資額は550億元で、設計生産能力は月産3万2,000枚のガラス基板(2290mm×2620mm)に達する。2025年2月の着工以来、科学的な工程管理、資源の最適化、技術的課題の克服により、高世代生産ライン特有の数々の建設難題を突破し、わずか168日で主工場の上棟を実現した。
この生産ラインでは、維信ノが独自開発したViP技術を採用。半導体フォトリソグラフィー工程でAMOLEDの画素を形成することにより、従来のFMM工法の制約から完全に脱却。独立画素構造、高精度、高歩留まりといった核心的な強みを備え、AMOLEDパネルの切断効率と経済性を大幅に向上させる。これにより、タブレット、ノートPC、車載など中・大型の高級ディスプレイ市場に対して、より優れたソリューションを提供できる。
ViP技術が業界の壁を突破し、中・大型AMOLED市場が変革期に
消費電子機器やスマートカー市場における高級ディスプレイ需要の急拡大に伴い、AMOLED技術の中サイズ分野への浸透は加速している。調査会社Omdiaの予測によれば、中サイズIT製品と車載製品の年間平均成長率はそれぞれ26.5%と30.6%に達し、2030年にはIT製品の出荷が8,420万台、車載製品が1,220万台に拡大し、AMOLED産業の重要な成長エンジンとなる見込みだ。
2025年は「AIディスプレイ元年」とも呼ばれ、AIはディスプレイ製造やインタラクション体験に深く浸透していく。これにより、ディスプレイ産業はさらなるスマート化・個性化へと進化することが期待される。同時に、AIスマホ、AI PC、AR/VR機器などがディスプレイ性能により高い要求を突きつける中、ViP技術はまさにそのニーズに応えるタイミングで登場した。
FMM方式のAMOLEDパネルと比べ、ViP方式のAMOLEDパネルは解像度、消費電力、寿命といった主要指標で倍以上の性能向上を実現。スマートフォン、ノートPC、車載ディスプレイ、AR/VRなど、より鮮明な画質、長いバッテリー持続時間、安定した性能が求められる幅広い応用分野に対応できる。今回の生産ラインの順調な進展は、AMOLED技術の中・大型市場への普及を加速させ、世界のディスプレイ産業競争の構図を塗り替える可能性がある。
今後、維信ノは地方政府との戦略的協力をさらに深め、産業チェーンのリソースを統合し、合肥国顕プロジェクトの早期量産化を推進していく。そして、先進技術と卓越した製品力で世界中の顧客に価値を提供し、「中国製ディスプレイ」を「世界のディスプレイ」へと押し上げることを目指す。