サムスンディスプレイ、車載OLED出荷量5倍増で首位を盤石に


2025年6月3日  Wit Display

 

今年第1四半期、サムスンディスプレイの車載OLED出荷量は前年同期比で5倍以上増加し、その主導的地位を盤石なものにした。ソフトウェア定義車両(SDV)の急速な発展に伴い、車載OLED市場は引き続き急速な成長を見せている。

 

UBIリサーチが6月3日に発表したデータによると、今年第1四半期の車載OLED総出荷量は81万枚に達し、前年同期(27万枚)比で200%増加した。

 

市場を牽引するサムスンディスプレイ

サムスンディスプレイは市場成長の牽引役と見なされている。同期間中、サムスンディスプレイの出荷量は10万枚から54万枚へと440%急増し、市場シェアも37.0%から66.7%に拡大した。一方、LGディスプレイ、BOE、Everdisplayの出荷量は前年と横ばいであった。

 

サムスンディスプレイは、市場シェア拡大のため、自動車メーカー向けの車載OLED受注獲得に積極的に取り組んでいる。

 

同社は以前、現代自動車のIoniq 5とGenesisにOLEDパネルを供給した。昨年は、BMWのコンパクトカーブランドMiniに円形OLEDパネルを供給した。さらに、ドイツのAudi Q6 e-tronには12.3インチと14.5インチのOLEDパネルを供給した。サムスンディスプレイのOLEDパネルは、ZikerやRio Autoといった中国の電気自動車にも採用されている。今年2月には、Qualcommと協力して「Snapdragon Cockpit」体験キットにOLEDパネルを供給し、統合型車載半導体とディスプレイソリューションの提供をさらに拡大させた。

 

積極的な受注獲得のおかげで、サムスンディスプレイは引き続き自動車OLED市場をリードし、年間市場シェアは半分以上を占めている。市場調査会社Omdiaのデータによると、サムスンディスプレイの昨年の自動車OLEDパネル出荷量シェアは59.3%で、売上高も55.2%の市場シェアで業界トップだった。

 

車載OLED市場の課題と今後の展望

車載OLEDパネルは高付加価値製品であり、その価格はITパネルの約5倍とされる。サムスンディスプレイは、車載ディスプレイ市場での地位を強化するため、OLED技術の強化を計画している。近年、中国政府の補助金政策が中国の自動車およびコンシューマー向けディスプレイの需要を刺激し、BOEなどの中国企業の市場シェアも上昇している。韓国ディスプレイ産業協会によると、昨年の韓国の車載OLED市場シェアは前年比5.5%減の76.1%であった。

 

今年初めに米国ラスベガスで開催された世界最大の電子・IT(情報通信技術)展示会CES 2025において、サムスンディスプレイは、ディスプレイの下にカメラを隠すことで安全運転を支援する車載UPC製品を発表した。この技術を適用することで、ドライバーに邪魔を与えることなく安全運転支援機能の効果を高めることができる。UPC技術は当初、折りたたみ式スマートフォンに適用されたが、今回初めて車載製品に採用された。

 

同社はまた、車両のダッシュボードの形状に合わせて曲げられる18.1インチの曲がる中央ディスプレイ(CID)も発表した。自動運転モードでは、重要な情報を確認しながら空間認識と視界を広げるために曲げることができ、駐車時には平らな状態にしてより多くの情報を確認したり、エンターテイメントを楽しんだりできる。

 

同時に、自動車メーカーがSDV(ソフトウェア定義車両)への移行を加速するにつれて、車載OLED市場は成長を続けている。昨年、車載OLED出荷量は約248万枚で、前年比126%増加した。今年は、出荷量が300万枚に達すると予想されている。

 

UBIリサーチのハン・チャンウク副社長は、「SDVは高解像度、低消費電力、AR、マルチスクリーンディスプレイ性能を必要とし、リアルタイムデータ提供とユーザー体験の最適化が求められるため、このようなアプリケーションに適したOLEDディスプレイの採用は今後も拡大し続けるだろう」と説明している。