2025年4月30日 The Elec
サムスンディスプレイは、ITおよび車載向け有機EL(OLED)事業の売上目標を3兆ウォン以上に設定したことが明らかになった。現在、サムスンディスプレイはスマートフォン向けOLEDに偏った事業構造を多様化する課題を抱えている。
サムスンディスプレイは30日に行った第1四半期の業績発表後のカンファレンスコールにおいて、「ITおよび車載OLEDの売上比率目標は、中小型事業全体の中で二桁以上を目指す」と述べ、「事業ポートフォリオの安定性を高める」と表明した。
ここでいうIT向けOLEDとは、タブレットやノートパソコン向けOLEDを指し、モニター用OLEDは大型の量子ドット(QD)OLEDとして製造される。
サムスンディスプレイの昨年の全体売上は29兆2000億ウォンで、そのうち大型QD-OLEDの売上は約1兆ウォンに過ぎず、残りの28兆ウォンはほとんどが中小型OLEDの売上だった。中小型OLEDの売上のうち、二桁(最低10%)となるとおよそ3兆ウォンに相当する。
IT向けOLEDではサムスンディスプレイが市場をリードしてきた。車載OLEDの出荷量も増加しており、市場調査会社Omdiaによると、サムスンディスプレイは2023年と2024年の2年連続で車載OLEDの出荷量および売上で1位を維持した。
李青(イ・チョン)社長が今年1月に最初の経営キーワードとして掲げた「技術」は、今回のカンファレンスコールでも強調された。中小型OLED市場での競争激化への対応策を問われると、サムスンディスプレイは「差別化された高性能技術を開発の初期段階から顧客と緊密に連携し、顧客ニーズに応じた完成度の高い製品を継続的に提供するとともに、コスト競争力を強化する」と回答した。さらに、「既存の第5.5世代、第6世代のOLEDラインと、今後稼働予定の第8.6世代IT OLED新ラインを活用し、ライン別に最適化された製品でスマートフォン、IT、車載などの新規OLED市場を先取りする」と付け加えた。
サムスンディスプレイはQD-OLEDを通じてモニター市場を攻略する意志も改めて示した。同社は今年3月、モニター用QD-OLEDの販売台数を昨年(Omdiaによると143万台)より50%増加させる計画を明らかにした。昨年、世界のモニターOLED出荷量200万台のうち、143万台がQD-OLEDだった。
サムスンディスプレイの2024年第1四半期の業績は、売上高5兆9000億ウォン、営業利益5000億ウォンとなった。前年同期比で売上は9%、営業利益は1000億ウォン増加した一方、前四半期比では売上が28%、営業利益が4000億ウォン減少した。サムスンディスプレイは詳細な数値を公表していないが、第1四半期の売上は5兆8700億ウォン、営業利益は4600億ウォンと推定されている。
第1四半期におけるサムスンディスプレイの売上が5兆9000億ウォンにとどまり、LGディスプレイの売上(6兆653億ウォン、営業利益335億ウォン)を下回った。サムスンディスプレイの四半期売上がLGディスプレイを下回るのは、2021年第2四半期以来15四半期ぶりとなった。
LGディスプレイの第1四半期売上には為替効果に加え、中国広州の液晶ディスプレイ(LCD)工場で生産されたテレビ用LCDの在庫積み増し需要などが影響を与えた。サムスン電子やLG電子などが、LGディスプレイが最後まで稼働させていた広州LCD工場で生産されたテレビ用LCDの在庫を確保した。LGディスプレイは第1四半期をもって広州LCD工場の運営を終了し、同工場はCSOTに最終的に譲渡された。広州LCD工場の売上は年間で2兆ウォン、四半期あたり5000億ウォン前後とされている。
一方、サムスンディスプレイは第2四半期におけるアップル向けiPhone用OLEDの出荷量を、当初計画よりも300万〜400万台増やす方針を定めたとされている。