サムスンディスプレイ、XRディスプレイは既存とは違う新たな価値を創造する総合技術となる


2024.05.23 The Elec

 

サムスンディスプレイが、拡張現実(AR)機器ディスプレイに使用できるレドス(LEDoS:LED on Silicon)技術が、「ブルー+QD」方式から「RGB 3パネル」方式、そして「モノリシック1パネル」方式へと進化すると予測しました。

 

サムスンディスプレイのホ・ジョンム常務は、23日に≪The Elec≫主催で開催されたマイクロディスプレイカンファレンスで、代表的なレドス技術として「ブルー+クアンタムドット(QD)方式」「赤(R)緑(G)青(B)3パネル方式」「モノリシック(Monolithic)1パネル方式」などを紹介しました。

 

レドスとは、シリコン基板上に数マイクロメートル(μm)内外のマイクロ発光ダイオード(LED)を形成した技術を指します。レドスは拡張現実(XR)機器の中でも、特にAR機器ディスプレイに使用されることが期待されています。レドスでは、現実世界の上に情報を重ねるため、輝度(明るさ)に強みがあるLEDが有利だからです。

 

ブルー+QD方式のレドスは、CMOS基板(バックプレーン)にブルーLEDを形成した後、QD色変換層を通じて色を実現する方式です。QDの上にはマイクロレンズアレイ(MLA)を配置し、光抽出効率を高めます。MLAはRGB-3パネル方式およびモノリシック1パネル方式のレドスにも使用されます。

 

RGB 3パネル方式は、3つのCMOS基板上にR、G、BのマイクロLEDをそれぞれ形成し、3つのパネルを作る技術です。この場合、ウェーブガイド(Waveguide・光導波路)技術が必要です。ウェーブガイド技術は、光を制御して特定の方向に導き、画像を転送します。

 

モノリシック1パネル方式は、パネルが1つです。CMOS基板にR、G、BのLEDを垂直(Vertical)に積み上げるか、同じ層に水平(Horizontal)に並べて積み重ねます。

 

ホ・ジョンム常務は、「有機EL(OLED)はガラス基板でもCMOS基板でも蒸着してRGBを実現できますが、LEDには高温エピタキシャル工程が必要です」と述べ、「ウエハー上にRGB LEDをそれぞれ作り、CMOS基板に貼り付ける必要があります」と説明しました。さらに、「RGB LEDを3つのパネルにするのも難しく、それぞれ別に作ってパターニングするのも問題です」とし、「これらはすべてコストと高解像度の面で難題です」と評価しました。

 

彼はまた、「XRディスプレイは従来のOLEDが単に拡張されたものではなく、光学やパネル、工程、材料の面で新しい価値を創出できる総合技術です」と述べました。

 

ホ常務は、これまでに発売されたバーチャルリアリティ(VR)機器が市場に定着しなかった理由として、「コンテンツなどの価値不足」「機器の不便さ」「高コスト」を挙げました。「これまでのVR機器は、メガネをかけて目の前にある画面を見るような快適さがなく、コストも普及できるレベルを上回っていました」と指摘しました。

 

さらに、「価値、快適さ、コストの3つすべてが揃ったときにXR市場が成長する」と述べ、「現在は市場はまだ黎明期にある」と付け加えました。サムスンディスプレイは2022年末から、1インチ前後のマイクロディスプレイの開発を目指して「Mプロジェクト」を開始しました。シリコン基板上にOLEDを蒸着するOLEDoSとLEDoSは、いずれも代表的なマイクロディスプレイ技術です。