アップルウォッチ、マイクロLEDが適した最初の製品となる


○2023.02.01 The Elec

 

市場調査会社オムディアによると、アップルのアップルウォッチがマイクロLEDディスプレイを適用するのに適した最初の製品になることができると展望した。Appleが2014年に初めて発売したApple Watchシリーズは、有機EL(OLED)パネルを使用してきた。

 

Appleは2024年を前後にマイクロLEDを適用したAppleウォッチを発売する計画である。LEDは無機物であり、有機物であるOLEDより製品寿命に強みがある。輝度(明るさ)でもLEDが優位にある。

 

オムディアは、アップルが屋外で視認性の良いマイクロLEDスマートウォッチ開発を目指してきており、今後は拡張現実(AR)機器とスマートフォンにもマイクロLEDを適用する計画だと予想した。2.5インチより小さい画面サイズで、画素密度300~400PPI(PPI:Pixels Per Inch)をサポートするスマートウォッチにマイクロLEDを適用することは、比較的容易だと評価した。

 

一方、AR機器とスマートフォンディスプレイは解像度が高くなければならないため、ここれに必要なマイクロLEDの開発が難しいと明らかにした。2022年に発売されたApple iPhone 14シリーズの画面サイズは6.1インチと6.7インチで、画素密度は458~460PPIだった。さらにAR機器には数千のPPIが必要である。PPIが高いほど、マイクロLEDはさらに微細にする必要がある。

 

オムディアはこのため、他の機器より画面サイズの小さいアップルウォッチが、マイクロLEDディスプレイが適切な最初の製品になると予想した。アップルは2014年に初めて公開したアップルウォッチには低温多結晶シリコン(LTPS)薄膜トランジスタ(TFT)方式のOLEDを適用し、以後に消費電力を削減するために2018年アップルウォッチからLTPO TFT方式OLEDを適用した。iPhoneには2021年、iPhone 13シリーズ上位ラインナップからLTPO TFT方式OLEDを搭載した。

 

Appleはこれまで、マイクロLEDと補償回路の均一性などで困難を経験しながらマイクロLED量産計画を何度も延期したが、現在は量産に近づいたとオムディアは評価した。AppleはマイクロLEDディスプレイはもちろん、マイクロLEDチップも開発してきた。アップルは現在、エピウエファーとチップはエピスターとオスラム、LTPO TFTバックプレーンはLGディスプレイ、マイクロアセンブリはITRIと共同開発中である。

 

2014~2024年アップルのアップルウォッチディスプレイロードマップ(資料=オムディア)
2014~2024年アップルのアップルウォッチディスプレイロードマップ(資料=オムディア)

一方、テレビとモニター用のミニLEDパネルの需要は2027年まで着実に成長すると予想された。サムスン電子をはじめとする主要テレビメーカーがミニLEDテレビを積極的にプロモーションしている。ノートパソコンとタブレット用ミニLEDパネルの需要が減少し、2026年からはテレビとモニター用ミニLEDパネルの出荷量が全体の半分を超えると期待された。

 

DSCCは、ミニLEDがタブレットやノートパソコン、モニターなどのIT製品やテレビのほか、AR・VR機器と車両、医療機器などでアプリケーションを広げていると評価した。ミニLEDを適用した車両用インテリジェントヘッドランプ(ADB:Adaptive Driving Beam)は、前方で運行する車両や反対車線から出てくる車両走行状況に合わせてヘッドランプを精密に制御することができる。サムスン電子のピクセルLEDとソウル半導体のワイカプADBなどが代表的だ。ドイツのポルシェも最近、車両用ADBを適用した。

 

2022年のミニLEDパネル出荷量は2164万台で前年比121%であった。2022年第4四半期のApple iPad用ミニLEDパネル出荷量は160万台、MacBook Pro用ミニLEDパネル出荷量は220万台だった。アップルがこの市場最大の需要先である。

 

2021年はアップルのミニLEDのiPadとMacBook、サムスン電子のミニLEDテレビなどの発売が開始された年だった。当時、業界ではこの2社がミニLEDパネル市場開花をリードすると期待していた。