天馬の3マスクBM-Free COE工程技術


2026年5月20日

出典:UBIResearchNet

 

Tianma(天馬)はSID 2026において、COE(Color Filter on Encapsulation)工程のフォトマスク数を削減しながら、反射率・色度・消費電力を同時に調整可能なGOC(Gray Overcoat)ベースのBM-Free COE技術を発表した。この技術はR/Bカラーフィルターは維持しつつ、GOCがGカラーフィルターおよびOC平坦化層の役割を兼ねることで、3枚のフォトマスクのみで製造可能である(SID 2026 Digest 66-2)。

 

一般的なOLEDのCOE構造は、外光反射を低減しコントラストを向上させるため、TFE(薄膜封止)上にカラーフィルター、ブラックマトリクス(BM)、平坦化層を配置する構造であり、5枚のフォトマスクが必要である。BM-Free COEでは、R/Bカラーフィルターの重なり構造によってBMを代替し、マスク数は4枚まで削減されるが、GカラーフィルターとOC層が依然として必要となる。

 

Tianmaが提案するGOC(Gray Overcoat)ベースの協調型COE構造では、3枚のフォトマスクのみで製造でき、R/BカラーフィルターおよびGOCの厚みを独立に調整することで性能設計が可能となる。本技術の核心は、GOC、Rカラーフィルター、Bカラーフィルターの厚みをそれぞれ独立して調整できる点にある。

 

 

従来のGOC方式では、光学特性はGOC材料自体のスペクトル特性によって決定されていた。一方、Tianmaの協調型COE構造では、R/Bカラーフィルターを維持しつつ、GOC厚み、R-CF厚み、B-CF厚みを個別に設計することで、反射率・色度・消費電力特性を多様に制御できる。

 

Tianmaは光学シミュレーションにより、GOCとR/Bカラーフィルターの厚みの組み合わせによって、色座標を広い範囲で制御可能であることを確認した。

 

試作検証では、

・反射率:6.16%

・消費電力低減率:21%

という結果が得られた。

 

フォトマスク数を3枚まで削減したにもかかわらず、回折特性は従来COE構造と同等レベルであり、光学性能の低下がないことが確認された。このため、工程簡素化と歩留まり改善の両立が可能な技術と評価される。またTianmaは、GCL(Gray Common Layer)を適用したスマートフォン展示において、偏光板適用製品と比較して約20%の消費電力削減を示した。

 

UBIリサーチの分析によれば、今回のGOCベースBM-Free COE技術は、次世代OLEDパネルにおいて製造コスト削減と性能最適化を同時に狙う技術である。単純なマスク削減だけでは製品ごとの色度や反射率要求を満たすことは難しいが、Tianmaのアプローチは、GOCとR/Bカラーフィルター厚みを同時に設計することで、「材料が性能を決定する方式」から「構造と工程によって性能を設計する方式」への転換を意味する点で重要である。