2025年11月4日/出典:SemiDisplayView
米国テキサス州での特許訴訟 ― サムスンに有罪評決
サムスンが有機EL(OLED)ディスプレイ技術をめぐって特許侵害訴訟に直面している。米国テキサス州の連邦陪審は、同社が先端ディスプレイ技術に関連する2件の米国特許を侵害したと認定し、アイルランドの企業Pictivaに対して1億9,140万ドル(約300億円)の賠償金を支払うよう命じた。この裁定はテキサス州東部地方裁判所によって下されたもので、サムスンは直ちに不服を表明し、上訴の意向を明らかにしている。
Pictivaは2023年、サムスンが許可を得ずに自社の有機EL関連技術を使用したとして提訴した。訴状によると、サムスンはPictivaの特許技術――ディスプレイの解像度・輝度・エネルギー効率を向上させる技術――を、Galaxyスマートフォンやテレビ、ウェアラブルデバイスなどの製品に組み込んだという。一方でサムスンは特許そのものの有効性を否定して争ってきたが、陪審は5件中2件の特許侵害を認定した。
Pictivaの背景とサムスンの対応
Pictivaはアイルランドに本社を置き、数百件の有機EL関連特許を保有する企業で、世界的な知的財産権マネタイズ企業Key Patent Innovationsの子会社である。Pictivaが保有する特許の多くは、2000年代初頭にドイツの光電子メーカーOSRAM(オスラム)が開発した技術を基にしている。
Pictivaのマネージングディレクター、アンジェラ・クインラン(Angela Quinlan)氏は今回の判決について「Pictivaの知的財産の強さを証明するものだ」とコメントした。一方、サムスンは「今回の2件の特許に関する判断には同意できない」として、米国特許商標庁(USPTO)に無効審判請求を提出済みであり、現在その審査が進行中だと明らかにした。
争いは続く ― 他の特許訴訟でも不利な判決
今回の判決はPictivaにとって大きな勝利となったが、法的な争いはまだ終わっていない。今後数か月の上訴審で最終的な行方が決まる見通しだ。
さらに注目すべきは、サムスンが他の特許紛争でも相次いで敗訴している点である。わずか1か月前にも、テキサス州マーシャル市の連邦陪審が、同社に対し米通信企業Collision Communicationsへの約4億4,550万ドルの賠償を命じた。こちらは4G、5G、Wi-Fi通信技術に関する特許侵害が理由だった。
なお、サムスン電子の主要な有機EL製造子会社であるサムスンディスプレイは、今年初めにPictiva Displaysの6件の特許について「特許性がない」として、米国特許商標審判部(PTAB)に無効申し立てを行っている。サムスン電子関係者は今回の裁定に対し「非常に不満だ」と述べ、上訴手続きを進める方針を示した。