Universal Display、2025年売上高6億5100万ドルで過去最高を達成―燐光材料と青色有機ELの商用化が次世代成長の鍵


2026年2月19日 / 出典:Universal Display Corporation 2025年第4四半期決算説明会

 

過去最高の売上高を記録、有機EL市場拡大の恩恵を享受

 

Universal Display Corporationは2025年通期の売上高が6億5100万ドルに達し、過去最高を更新したと発表した。営業利益は2億4900万ドル、純利益は2億4200万ドルで、希薄化後1株当たり利益は5.08ドルとなった。同社の業績は、有機ELの採用がスマートフォン、ウェアラブル機器、タブレット、ノートPC、モニター、テレビなど幅広い電子機器へと拡大したことを反映している。

 

同社は材料開発、知的財産の強化、グローバルインフラの拡張、顧客との協力関係の深化に継続的に投資しており、これらの取り組みは今後の有機EL産業と同社自身の長期的な成長を支える基盤となっている。特に燐光材料は、有機ELの高効率化と長寿命化を可能にする中核技術として、同社の競争力の中心を担っている。

 

また、2025年第4四半期の売上高は1億7300万ドルで前年同期比7%増となり、営業利益率は39%と前年の32%から大幅に改善した。材料販売、ロイヤルティ収入、ライセンス収入がいずれも堅調に推移し、財務体質の強さが示された。

 

有機EL技術は単層構造から多様なアーキテクチャへ進化

 

有機EL業界は長年、単層構造(シングルスタック)が主流であったが、現在はより高性能化を目指して複数の構造が検討・導入されている。これにはタンデム構造、PSF(燐光感応蛍光)構造、およびその他のハイブリッド構造が含まれる。

 

同社の燐光材料はこれらすべての構造において重要な役割を果たしている。PSF構造では燐光材料と蛍光発光材料を組み合わせることで、効率、寿命、色特性のバランスを最適化し、用途に応じた柔軟な設計を可能にしている。

 

Universal Displayは、SOLEDと呼ばれる積層型有機EL構造やPSF技術の研究を早期から進めており、さらにMerck KGaAから関連する知的財産を取得することで技術基盤を拡張した。これにより、同社は多様化する有機EL設計に対応するための技術ポートフォリオを強化している。

 

このような構造革新は、折りたたみ機器、自動車ディスプレイ、IT用途など新しいアプリケーションの要求に対応するために不可欠であり、同社の技術はその中心的役割を担っている。

 

青色燐光材料の商用化が最大の技術的ブレークスルー

 

現在、有機EL業界で最も注目されている技術の一つが青色燐光材料である。同社は複数の顧客と協力し、この材料の商用化に向けた開発を進めている。

 

青色燐光材料が実用化されれば、有機ELパネルの消費電力効率を最大25%改善できる可能性があるとされている。これはスマートフォン、ノートPC、テレビなどのバッテリー寿命やエネルギー効率に直接影響する重要な進歩となる。

 

現在の青色燐光材料の売上は開発段階にあるため年間約400万~500万ドル程度にとどまっているが、これは開発用途に必要な材料量が少ないためであり、技術進展の指標としては必ずしも収益規模が直接的な判断材料にはならないと同社は説明している。

 

青色燐光材料の商用化のタイミングは顧客の製品開発スケジュールに依存する部分が大きいが、同社は技術進展に対して強い自信を示しており、今後の有機EL市場の成長を牽引する重要な技術になると位置付けている。

 

IT機器と車載用途が今後の有機EL需要拡大の主要ドライバーに

 

市場調査会社Omdiaの予測によると、有機ELの世界出荷量は2030年までに14億台を超える見込みである。スマートフォン向けは2025年の8億1000万台から2030年には9億6700万台へ増加する見通しである。

 

特に注目されているのがIT用途であり、タブレット、ノートPC、モニター向け有機EL出荷量は2025年の2700万台から2030年には9200万台へと3倍以上に拡大すると予測されている。

 

また車載用途も急速に成長しており、2025年の300万台から2030年には1400万台へと増加する見込みである。高級車メーカーや中国の新エネルギー車メーカーが差別化要素として有機ELディスプレイを採用し始めており、車内体験の重要な要素となっている。

 

さらに折りたたみディスプレイも再び成長軌道に入り、2025年の1900万台から2030年には7100万台へと約3.7倍に増加すると予測されている。これにより新しいフォームファクターの開発が促進され、有機EL技術の採用領域がさらに拡大する。

 

第8.6世代有機EL製造ラインの稼働開始で設備投資の新段階へ

 

有機EL業界は現在、新たな設備投資サイクルに入っている。2023年末から2025年末までに有機EL製造能力は約10%増加しており、さらに2027年末までに追加で約10%の増加が見込まれている。

 

2026年は特に重要な節目となり、第8.6世代の有機EL製造ラインが初めて量産を開始する予定である。韓国のサムスンディスプレイと中国のBOEがそれぞれ新工場を稼働させ、IT用途向け有機ELパネルの生産能力を大幅に拡大する。

 

これらの新工場は2026年第2四半期以降に本格稼働する見込みであり、同社の2026年売上予測(6億5000万~7億ドル)にもその影響が織り込まれている。

 

同社はまた、中国市場への投資を強化しており、新しい研究施設の開設と技術支援体制の拡充を進めている。中国は競争が激化している市場であるものの、有機EL市場の重要な成長地域であり、同社の長期戦略において重要な位置を占めている。

 

Universal Displayは、燐光材料技術、知的財産、研究開発能力を基盤として、有機EL産業の技術革新を主導してきた。青色燐光材料の実用化、第8.6世代ラインの稼働、新たな用途拡大などにより、有機EL市場は今後も中長期的な成長が見込まれている。同社は材料技術と知的財産の優位性を背景に、次世代有機EL技術の中心的企業としての地位をさらに強化していく見通しである。