2025年11月24日/韓国《電子新聞》
医薬を使わず、光だけでアルツハイマー病の記憶力と脳内の病理指標を改善できる、最も効果的な有機EL光の色が初めて明らかになった。将来的には、個人に最適化された“有機EL電子薬”として発展する可能性が期待されている。
韓国科学技術院(KAIST)は24日、同大学の崔敬哲(チェ・ギョンチョル)教授(電気・電子工学部)研究チームと、韓国脳研究院(KBRI)の具子旭(ク・ジャウク)博士・許香淑(ホ・ヒャンスク)博士の研究チームが共同で、均一な照度を実現する3種類の色による有機EL光刺激技術を開発し、アルツハイマー動物モデルで大きな治療効果を確認したと発表した。
従来のLED方式には、明るさの偏り、熱発生のリスク、動物の動きによる刺激のばらつきといった構造上の欠点があった。研究チームはこれを解決するため、均一に光を照射できる有機ELベースの光刺激プラットフォームを新たに構築した。
初期アルツハイマー動物モデルに対し、1日1時間の光照射を2日間実施した結果、白色光と赤色光のいずれでも長期記憶の改善を確認した。また、アルツハイマー病の主要な原因物質とされるアミロイドβ(Aβ)プラークが減少し、その除去に関わる酵素「ADAM17」の産生量が増加していることも明らかになった。
特に赤色光では、炎症を悪化させ病気の進行を促す「炎症性サイトカイン IL-1β」が大幅に減少し、炎症緩和効果まで確認された。
アルツハイマー中期で赤色光のみが統計的に有意な治療効果
中期段階(6カ月齢)のアルツハイマー動物モデルでは、赤色光を照射した場合のみ、統計的に有意な病理改善が見られた。さらに同じ条件で2週間の長期刺激を行ったところ、白色光・赤色光のどちらでも記憶力の向上は確認されたものの、Aβプラークの減少は赤色光のみで有意に認められた。
さらに赤色光の照射では、Aβ除去に関わるADAM17が増加し、逆にAβを生成する酵素BACE1が減少するなど、「生成抑制+除去促進」という二重の治療効果が確認された。一方、白色光はBACE1の減少のみで、赤色光に比べると治療効果は限定的だった。これにより、光の色が治療効果を決定する重要な要素であることが科学的に立証された形だ。
研究チームは、脳細胞が活動時に最初に発現する指標遺伝子「c-Fos」を分析し、光刺激が視覚経路を活性化し、それが海馬機能の活性化と記憶力の向上につながるという直接的な神経学的証拠も示した。
ウェアラブル赤色OLED電子薬の実用化へ前進
研究チームは今後、光の強度・エネルギー・照射期間、さらには視覚・聴覚を組み合わせた複合刺激など、さまざまな条件に拡張し、臨床段階への発展を目指す方針だ。
崔教授は次のように述べている。「均一照度の有機ELプラットフォームは、従来のLEDの構造的限界を克服し、高い再現性と安全性評価を可能にします。将来的には日常生活の中で装着しながら治療できるウェアラブル赤色有機EL電子薬が、アルツハイマー治療の新たなパラダイムを切り開くと期待しています。」この研究結果は、バイオ医療・材料分野の国際学術誌「ACS Biomaterials Science & Engineering」に、先月25日付でオンライン掲載された。