TCL華星、8.6世代OLED蒸着装置を確定―YASが受注し設備投資が本格化


日付:2026年4月21日

出典:WitDisplay

 

TCLグループ傘下のディスプレイメーカーである華星光電(CSOT)が進める8.6世代有機EL(OLED)生産ラインにおいて、蒸着装置の供給先が正式に決定した。韓国の装置メーカーであるYASが同ライン向けに成膜装置を供給する契約を締結し、大型投資プロジェクトの具体化が一段と進展している。

 

韓国金融監督院の電子開示システムが2026年4月20日に公表した内容によれば、YASは華星光電とディスプレイ量産向け蒸着装置の供給契約を締結した。契約日は2026年4月17日であり、契約期間は2027年12月31日までとなっている。なお、契約金額については商業機密のため開示されていない。

 

8.6世代OLED投資の中核装置として位置付け

 

今回の契約は、華星光電が継続的に進めている8.6世代有機EL生産ライン投資の一環である。このプロジェクトは、タブレット、ノートパソコン、モニターなどのIT用途向け有機ELパネルの量産を目的とした大型案件であり、投資は来年まで継続される計画となっている。

 

すでに初期の装置選定段階において、華星光電は主要サプライヤーとして韓国の製造装置メーカーを中心に採用していることが報じられている。YASはその中で、電子注入層(EIL)や電子輸送層(ETL)といった共通層の形成に用いられるオープンマスク方式の蒸着装置を担当する。これらの層は有機ELデバイスの基本性能を左右する重要な機能層であり、量産安定性と高精度成膜技術が求められる分野である。

 

YASにとって久々の新規装置ビジネス拡大

 

これまでYASは新規投資案件の不足により、既存設備の改造やメンテナンス事業への依存度が高い状況が続いていた。しかし今回の受注により、新規製造装置の販売拡大が見込まれ、事業構造の転換に向けた重要な契機となる可能性が高い。

 

なお、TCL科技集団は2025年9月12日に公告を発表し、同社および子会社のTCL華星、さらに広州市人民政府および広州経済技術開発区管理委員会と共同でプロジェクト協力協定を締結したことを明らかにしている。この計画では、広州市において月産約2万2,500枚(基板サイズ2290mm×2620mm)の処理能力を持つ第8.6世代印刷有機ELディスプレイ生産ライン(t8プロジェクト)を建設する予定である。

 

同プロジェクトの総投資額は約295億元に達すると見込まれており、主な製品はタブレット、ノートPC、モニターなどのIT向けディスプレイとなる。今回の蒸着装置契約は、この巨大プロジェクトの中核工程を支える重要な要素であり、今後の有機EL市場における競争力強化にも直結する動きといえる。