日付:2026年5月12日
出典:WitDisplay(THE ELEC報道をもとに構成)
LGディスプレイ、第6世代有機EL新規投資で蒸着製造装置の発注を本格化
5月12日の報道によると、中小型有機EL蒸着製造装置市場において、韓国のSunic Systemが日本のキャノントッキに代わり、LGディスプレイの第6世代有機EL蒸着製造装置の供給企業になる可能性が高まっている。韓国メディアTHE ELECの報道では、LGディスプレイが第6世代有機ELラインの構築に向け、主要製造装置メーカーに対する発注手続きを早ければ今月中にも進める見通しであり、その中核となる蒸着機をSunic Systemが受注する可能性が高いと伝えられている。
LGディスプレイは4月23日、有機EL新技術インフラの構築を目的として、総額約1兆1060億ウォン規模の新規設備投資を実施すると発表した。投資期間は2028年6月30日までで、この資金の大部分は第6世代有機EL生産ラインの増設に投じられる見込みだ。市場では、この投資によって月産約9000枚規模の基板処理能力が整備されるとみられている。今回の案件は、LGディスプレイの中小型有機EL事業強化に直結するだけでなく、今後のスマートフォン、IT機器、車載ディスプレイ向け有機EL供給体制にも影響を与える重要な投資案件として注目されている。
Sunic Systemの受注観測が強まる背景と過去の供給実績
業界関係者によると、今回LGディスプレイが導入を進める第6世代有機ELライン向け製造装置のうち、最重要装置の一つである蒸着機はSunic Systemが獲得する見通しだという。製造装置は2027年第1四半期に工場へ搬入される見込みで、LGディスプレイはその後、据え付け、プロセス調整、エンジニアリング検査を順次進め、2027年下半期から量産を開始する計画とされる。
有機EL蒸着機は、前工程において有機材料を基板上に均一に形成する中核製造装置であり、パネル性能と歩留まりを左右する極めて重要な設備である。そのため、有機EL製造装置の中でも技術障壁が高い領域とされ、長年この市場ではキャノントッキが主導的地位を維持してきた。そうした中で、Sunic SystemがLGディスプレイの新規案件で有力視されていることは、韓国製造装置メーカーの競争力向上を示す象徴的な動きとして受け止められている。
Sunic SystemはこれまでもLGディスプレイと第6世代有機EL蒸着機分野で協業してきた実績を持つ。2013年には第6世代ハーフカット式蒸着機の開発契約を締結し、2016年からは第6世代フレキシブルディスプレイ向け有機EL蒸着機を供給してきた。今回の受注が正式に決まれば、Sunic Systemは再びLGディスプレイの第6世代有機EL投資案件で供給実績を積み上げることになる。既存ラインでの採用経験があることから、LGディスプレイ側にとっても製造装置の運用面や技術適合性の検証が進んでいる点が、追加投資における重要な判断材料になったとみられる。
韓国有機EL製造装置産業の地位拡大と今後の業界波及効果
今回の案件が最終確定すれば、Sunic Systemにとっては単なる大型受注にとどまらず、韓国の有機EL製造装置産業全体の存在感を高める転機となる可能性がある。特に有機EL蒸着機のような高難度の中核製造装置で主要パネルメーカーへの供給実績を積むことは、今後の業界投資案件において極めて強い参考実績となる。将来、韓国内外のパネルメーカーが第6世代有機ELや次世代有機ELラインへの投資を進める際、LGディスプレイ向け供給実績はSunic Systemの採用可能性を押し上げる材料になると考えられる。
また、今回の動きは有機EL製造装置市場の競争構図にも変化を与える可能性がある。これまで高い技術優位を背景にキャノントッキが長期にわたり主導してきた市場で、LGディスプレイがSunic Systemを中核供給企業として選定することになれば、韓国勢の技術成熟と供給信頼性が改めて評価されたことを意味する。とりわけ中小型有機EL市場では、スマートフォン向け需要に加え、IT製品や車載向けの採用拡大が続いており、主要メーカーによる生産能力増強と製造装置の内製化・現地調達の流れは今後さらに加速する可能性が高い。そうした文脈で見ると、Sunic Systemの今回の受注観測は、LGディスプレイの投資計画だけでなく、韓国有機EL製造装置メーカーの国際競争力拡大を示す重要なシグナルとして市場で注目されている。