Smartkem、IDW 2025で次世代Mini-LEDバックライト技術を公開 …独自のRDL技術を適用した「MicroLED-in-Package(MiP4)」構造を発表


2025年12月17日  /UBIリサーチ

 

英国の先端素材企業スマートケム(Smartkem)は、昨年12月3日から5日まで日本広島国際会議場で開催された「IDW ’25(International Display Workshops 2025)」において次世代Mini-LEDバックライト技術を発表した。台湾国立陽明交通大学(NYCU)およびコアトロニック(Coretronic)と共同開発したこの技術の名称は「MiP4(MicroLED-in-Package 4-in-series)」で、 高難度半導体およびディスプレイプロセスの融合技術を通じて、マイクロLEDプロセスの難題を解決し、価格競争力を最大化したことが特徴である。

 

現在プレミアムTVとタブレット市場を主導しているMini-LEDバックライト技術は優れたコントラスト比と色再現性を提供するが、構造的な限界に直面している。既存の「0820」モデル(0.2mm x 0.5mm)のようなmini LEDチップはこれ以上の小型化が困難で、原価削減に制約が生じる。また、バックライト駆動回路は通常12V電圧を標準使用する一方、個々のLEDチップは約3Vで駆動されるため、別途降圧(Step-down)コンバータが必要となる。これは電力損失を招き、ドライバーボード設計を複雑化する主な原因であった。

 

今回の広島IDW ’25でスマートケム研究陣が提示したMiP4技術は、こうした問題を「直列接続パッケージング」という新たなアプローチで解決した。研究陣は85μm(マイクロメートル)以下の超小型マイクロLEDチップ4個をガラス基板上に配置し、これを電気的に直列接続して一つのパッケージ(0.6mm×0.6mm)とした。

 

従来のPOB、COB方式に比べ画期的に縮小されたMiP4のチップおよびパッケージサイズ比較 (出典:Smartkem)
従来のPOB、COB方式に比べ画期的に縮小されたMiP4のチップおよびパッケージサイズ比較 (出典:Smartkem)

 

今回の研究結果で最も注目すべき点は、材料効率性と輝度性能である。スマートケムは、400ゾーンで構成されたバックライトモジュールテストにおいて、MiP4技術が従来のCOB(Chip-on-Board)方式と比較し、GaN(窒化ガリウム)エピタキシャル材料の使用量を実に84%も削減したと発表した。従来のCOB方式がバックライトユニットあたり73.6mm²のGaN面積を使用するのに対し、MiP4はわずか11.56mm²のみを使用し、材料費を画期的に低減した。

 

MiP4の製造工程には、高度な半導体およびディスプレイプロセス技術が融合されている。研究チームは、サファイア基板上で成長させたGaN LED構造体を「ケミカルリフトオフ(Chemical Lift-off)」プロセスで分離した後、これをガラス基板に転写する方式を採用した。ガラス基板上では、高分子絶縁膜と金属配線で構成される再配線層(RDL, redistribution layer)を形成し、4つのマイクロLEDを電気的に直列接続した。

 

(a) ガラス基板上でマイクロLEDを直列に集積するためのRDL配線プロセスを示した模式図 (Source: Smartkem)
(a) ガラス基板上でマイクロLEDを直列に集積するためのRDL配線プロセスを示した模式図 (Source: Smartkem)

 

このような「チップファースト(Chip-first)」及びRDLベースの統合プロセスは、チップレベルで12V互換性を確保するだけでなく、SMT(表面実装技術)プロセスに即時適用可能なパッケージ形態を提供し、製造信頼性を高めた。

 

材料使用量は減少したものの、性能はむしろ強化された。MiP4ベースのバックライトモジュールは光学フィルムを適用した状態で最大34,047ニット(nits)の輝度を記録し、25,619ニットを記録した商用COB製品と比較して卓越した発光効率を実証した。

 

スマートケムと研究陣は、今回の技術が商用化されれば、ノートパソコン、タブレット、車載ディスプレイなど中小型高画質ディスプレイ市場においてOLEDと競争できる強力な武器になると見込んでいる。

 

SmartkemのMiP4に関する詳細:(a)MiP4ベースの400ゾーン・バックライトユニット、(b)12V駆動下で積層光学フィルムを用いたデモンストレーション、(c)市販品(COTS、COB)とMiP4の比較表 (Source: Smartkem)
SmartkemのMiP4に関する詳細:(a)MiP4ベースの400ゾーン・バックライトユニット、(b)12V駆動下で積層光学フィルムを用いたデモンストレーション、(c)市販品(COTS、COB)とMiP4の比較表 (Source: Smartkem)