BOEの陳炎順会長、来週サムスン電子を訪問へ――LCD・有機EL取引拡大を協議


記事日付:2025年12月12日

出典:The Elec

 

サムスン電子首脳陣と面会、LCD・有機ELの供給量が主要議題

BOEの陳炎順(チェン・イエンシュン)会長が、来週にもサムスン電子を訪問することが明らかになった。主な協議内容は、テレビ向け液晶ディスプレイ(LCD)およびスマートフォン向け有機ELの供給量とみられている。

 

業界関係者によると、陳会長は来週初めにサムスン電子の高位関係者と面会する予定で、テレビ事業を統括するVD(映像ディスプレイ)事業部の龍錫宇(ヨン・ソグ)社長、DX(テレビ・スマートフォン)部門長兼MX(スマートフォン)事業部長の盧泰文(ノ・テムン)代表理事社長らと会談する可能性が高い。いずれもBOEの事業と直接関わる要職である。

 

BOEが狙うテレビ用LCDの取引回復とCSOT依存の是正

BOEにとって最優先課題は、サムスン電子向けテレビ用LCDの供給量回復だ。BOEはかつて年間1,000万台規模のテレビ用LCDをサムスン電子に供給していたが、昨年には約100万台前後まで急減した。背景には、広告ロイヤルティ(MDF)や特許紛争を巡る対立により、両社の関係が悪化していたことがある。

 

しかし、今年に入ってからは関係改善と事業拡大に向けた動きが続いている。BOEは特に、視野角改善技術であるIPS(In Plane Switching)方式を採用したLCDを主力としており、BOEの供給が減少した間、サムスン電子はLGディスプレイからIPS方式LCDを主に調達してきた。その後、LGディスプレイの中国・広州LCD工場を買収したCSOTが、IPS方式LCDの供給を担うようになっている。

 

現在、サムスン電子はテレビ用LCD調達においてCSOTへの依存度が高まっており、その比重を引き下げることが課題とされている。BOEの再参入は、調達先分散という点でも意味を持つ。

 

スマートフォン向け有機ELと特許紛争後の「次の一手」

BOEは、サムスン電子のスマートフォン「Galaxy」やスマートウォッチ「Galaxy Watch」向け有機ELの供給拡大も視野に入れているとされる。近年、これらの分野ではCSOTからサムスン電子への有機EL供給量が増加してきた。モバイル有機ELは数量や面積ベースではBOE全体の事業比重は大きくないものの、サムスングループとの関係改善という観点では象徴的な意味を持つ。

 

また、業界では、BOEとサムスンディスプレイが先月合意終結した特許紛争を巡り、ライセンス条件などの後続協議が行われる可能性も指摘されている。一般に、特許紛争の和解では、ライセンス料に加えて、双方にとって「ウィン・ウィン」となる事業条件が付随するケースが多い。

 

来年はテレビ用LCD400万台調達案も浮上

すでに今年第3四半期には、サムスン電子とBOEが、2026年にテレビ用LCDを400万台以上調達する案を協議中との情報も伝えられていた。これはサムスン電子の年間テレビ用LCD調達量約4,000万台の1割に相当し、2024年・2025年に推定されたBOEのシェア(3~4%)を大きく上回る水準である。

 

仮にサムスン電子が来年BOEから400万台を調達したとしても、最大供給元はCSOTで、約800万台後半から900万台前半を供給し、HKCが約600万台前後を納入する構図になると見込まれている。今回の陳会長の訪問は、こうした調達バランスの再編に向けた重要な節目となりそうだ。