サムスンディスプレイ、第8.6世代有機EL試作で歩留まり70%超を達成


2026年3月23日

出典:WitDisplay

 

Samsung Displayは、第8.6世代有機ELの試作段階において、量産を見据えた歩留まりが70%を超えたことが明らかになった。この成果は、有機EL製造における生産効率を大きく変革する可能性を示しており、同社が2026年6月または7月に予定している量産計画に向けて順調に準備が進んでいることを裏付けている。

 

業界関係者によると、忠清南道牙山市にある第8.6世代有機EL生産拠点では試作ラインの検証が進み、すでに70%以上の歩留まりを達成している。関係者は「試作歩留まりはすでに70%に達しており、80%に近づいている状況で非常に前向きな成果だ」と述べており、「量産移行も計画通り問題なく進む可能性が高い」との見方を示している。

 

 

第8.6世代化がもたらす生産効率の飛躍

 

ディスプレイ業界における「世代」とはガラス基板のサイズを意味し、第8.6世代(2290mm×2620mm)は現在主流の第6世代(1500mm×1850mm)と比較して2倍以上の面積を持つ。この大型化により、1枚の基板から生産可能なパネル数が大幅に増加する。

 

具体的には、第6世代では14インチパネルを約450枚生産できるのに対し、第8.6世代では約1000枚の生産が可能とされている。このため、第8.6世代有機ELはコスト削減と生産効率向上の両面で大きな革新をもたらす技術として注目されている。

 

サムスンディスプレイは2026年6月または7月から本格量産を開始する計画であり、IT用途向け有機EL市場における主導権確立を狙っている。

 

Apple向けMacBook Proが主力用途、中国勢は遅れの懸念

 

第8.6世代IT用有機ELの主要顧客はAppleとされており、同社のMacBook Pro向けに14インチおよび16インチの有機ELパネルが供給される見込みである。MacBook Proは従来の液晶ディスプレイから有機ELへの移行が進められており、年間200万~300万枚規模の需要が想定されている。この供給はすべてサムスンディスプレイが担うと見られている。

 

これらの有機ELパネルには、2層タンデム構造、ガラス基板とポリイミド薄膜封止を組み合わせたハイブリッド基板、さらに酸化物TFTといった先進技術が採用される予定である。

 

一方、中国のBOEは、サムスンディスプレイに先行して第8.6世代有機ELの量産を開始する計画を掲げていたが、進捗の遅れが避けられない状況とみられている。パネルの応答速度などの性能が目標水準に達していないことから、当初予定していた量産スケジュールの遅延が懸念されている。

 

BOEはAcerやASUSといった顧客を確保し、14インチノートPC向け有機ELパネルの供給を目指しているものの、業界では当初の5月量産開始計画の実現は難しいとの見方が広がっている。

 

このように、第8.6世代有機ELの量産競争はサムスンディスプレイが一歩先行する構図となっており、今後のIT用有機EL市場の主導権争いに大きな影響を与えると見られている。