LGディスプレイ、有機ELのプレミアム戦略を維持…安定的収益構造の確立に注力


2026年3月12日

出典:The Elec

 

LGディスプレイは、有機EL事業の基本戦略としてプレミアム市場を中心に据える方針を改めて強調した。最近、パナソニックの普及価格帯テレビに有機ELパネルを供給したことから、同社がプレミアム戦略から方向転換したのではないかという見方も出ていたが、LGディスプレイはそのような分析を否定し、あくまで高付加価値戦略を維持する方針であることを明確にした。

 

LGディスプレイの鄭哲東(チョン・チョルドン)社長は2026年3月12日、ソウル市松坡区のロッテホテルワールドで開催された韓国ディスプレイ産業協会の理事会および定期総会の前に行われたスタンディングインタビューで、記者の質問に応じながら同社の事業方針について説明した。

 

LGディスプレイの鄭哲東社長が、韓国ディスプレイ産業協会定期総会の前に行われたスタンディングインタビューで記者の質問に答えている(写真:The Elec)
LGディスプレイの鄭哲東社長が、韓国ディスプレイ産業協会定期総会の前に行われたスタンディングインタビューで記者の質問に答えている(写真:The Elec)

 

有機EL事業はプレミアム市場を中心に展開

 

鄭哲東社長は、有機EL事業の基本方向はプレミアム戦略を強化することだと改めて強調した。パナソニックに供給した「SE製品」と呼ばれる有機ELパネルについては、OLEDブランド価値を維持しながら顧客の価格負担を軽減するために企画された製品であると説明した。つまり、普及価格帯モデル向けの供給であっても、有機ELの高付加価値ブランドを維持するという戦略の枠内で展開されているという立場である。

 

また同社は、事業体質の改善を通じて安定的な収益構造を確立することにも重点を置いている。ディスプレイ業界では、LGディスプレイが2026年上半期に黒字転換する可能性があるとの見方も出ている。これについて鄭社長は、強化された企業体質を基盤として安定した収益構造を構築し、収益性を段階的に高めていく方向で事業を進めていると述べた。そのうえで、上半期にも良好な業績を達成できる可能性があるとの期待を示した。

 

フォルダブルとガラスインターポーザーなど新事業も推進

 

LGディスプレイは、新たな事業分野としてフォルダブルディスプレイとガラスインターポーザー技術を挙げている。同社はこれらの新事業準備を進めると同時に、製品開発の方法自体も変革している。具体的には、設計段階から人工知能(AI)を活用し、開発効率を高める取り組みを進めている。製品開発の過程では、仮想設計(VD:Virtual Design)とAIを組み合わせた開発プロセスを採用しており、この中でNVIDIAの開発ツールが活用されている。こうした取り組みが評価され、LGディスプレイはディスプレイ業界として初めてNVIDIAのAI技術イベントであるGTC(GPU Technology Conference)に招待されたという背景がある。

 

一方、サムスンディスプレイの李青社長が指摘したのと同様に、メモリー半導体価格の上昇や米国・イスラエルによるイラン攻撃を契機とした中東情勢の緊張は、今後の市場における重要な不確実要因として認識されている。鄭社長は、戦争が早期に終結すれば大きな影響はない可能性もあるが、状況が悪化して長期化した場合には影響を受ける可能性があるため、慎重に状況を注視していると述べた。現時点では直接的な影響は出ていないものの、情勢が長期化した場合には影響が出る可能性があるとして警戒を続けている。

 

さらに鄭社長は、メモリー半導体価格の上昇が最終製品であるIT機器の価格上昇につながるかどうかが重要な変数になると指摘した。もしセット製品価格が上昇すれば、ディスプレイ需要にも影響を与える可能性があるため、その動向を継続的に注視していると説明した。