日付:2026年5月14日
出典:CINNOResearch
次世代有機ELディスプレイに向けた低消費電力駆動回路の開発
2026年5月14日、高麗大学の研究チームは、消費電力を低減できる次世代の有機ELディスプレイ駆動回路の開発に成功したと発表した。
高麗大学は同日、電子電気工学部の金泰根教授の研究チームが、コンデンサを必要としないアクティブマトリクス有機EL(AMOLED)ディスプレイの駆動回路を実現したと明らかにした。
AMOLEDは自発光特性に基づき、高コントラスト、高速応答、さらにフレキシブルディスプレイへの応用が可能な次世代ディスプレイ技術である。特にARやXRスマートグラスへの応用においては、超高精細な表示を実現するために数千以上の画素を高密度に配置する必要がある。
従来技術の限界:蒸着工程と回路構造の課題
しかしながら、現在主流となっている精密金属マスクを用いた蒸着プロセスでは、マスクの構造変形が発生しやすく、画素の高精度な配置に限界があるという問題がある。
さらに、現在広く用いられているAMOLEDの「2T-1C(2トランジスタ1コンデンサ)」回路構造では、画面表示を維持するために繰り返し電荷を補充するリフレッシュ動作が不可欠である。この方式は消費電力効率が低いだけでなく、回路構成の複雑化を招く要因にもなっている。
メモリスタを活用した新構造と5,000PPIへの可能性
こうした課題に対し、研究チームは全く新しい回路構造を設計した。ガラス基板上において、従来のトランジスタとコンデンサの役割を、単一のメモリスタ(電流の履歴を記憶する次世代半導体素子)で置き換える方式を採用した。
この結果、安定した画素駆動および輝度制御の実現に成功した。また、メモリスタの最大電流を制限するクランプ電流を調整することで、有機ELへの注入電流および発光輝度を連続的に制御できることも確認された。
金泰根教授は、「低コストのガラス基板を使用した場合でも、5,000PPI以上の超高解像度を実現できる。この技術はディスプレイの価格競争力を大幅に高め、商用化の可能性を大きく前進させるだろう」と述べている。
本技術は、AR/XR向け超高精細ディスプレイの実現に向けた重要なブレークスルーであり、今後の有機EL産業における製造技術および回路設計の方向性に大きな影響を与えると期待される。