2025年11月1日 出典:WitDisplay
9か月の延期、2026年9月稼働へ修正
10月31日、中国の有機ELパネルメーカーである和輝光電(EDO)は公告を発表し、同社の中核資金調達プロジェクトである「第6世代AMOLED生産ライン能力拡張プロジェクト」を9か月延期すると明らかにした。当初、同プロジェクトは2025年12月に稼働予定だったが、新たに2026年9月に変更された。
今回の延期は初めてではなく、同プロジェクトでは過去にも2度の延期が行われている。2023年10月には「2023年稼働予定」を「2024年12月」に変更し、翌2024年11月にはさらに1年後の「2025年12月」へと修正していた。
和輝光電は、業界で早くからAMOLEDの量産化を実現した企業のひとつであり、現在は第4.5世代と第6世代の2本の生産ラインを稼働している。第4.5世代ラインの月産能力は約1.5万枚、第6世代ラインは月産3万枚に設計されている。
65億元を投じる主力投資計画、技術アップグレードで遅れ
今回の延期対象となるのは、2021年のIPO(新規株式公開)時に設定された中核投資プロジェクトである。当時、和輝光電は総額80億元超の資金調達を実施し、そのうち65.02億元を「第6世代AMOLED生産ライン能力拡張プロジェクト」に充てた。目的は、既存の生産能力を月産3万枚(30K)から4.5万枚(45K)へ拡大し、中小型AMOLED分野での競争力をさらに高めることにあった。
2024年9月末時点で、同プロジェクトへの累計投資額は46億元に達しており、2025年9月末には53.32億元(約82%)が投じられたことが確認されている。プロジェクトの主体・投資総額・建設方針には変更はなく、延期はあくまで稼働時期の修正にとどまっている。資金も監督機関の規定に従い専用口座で管理されており、用途の転用は発生していないという。
延期の理由として、和輝光電は2つの主要要因を挙げている。一つは製造装置の納入遅延で、主要設備の設置・調整が計画通りに進まず、生産能力拡大のスケジュールが影響を受けた。もう一つは業界技術の急速な進化への対応である。高性能AMOLED市場ではLTPO、Hybrid、Tandemといった最新技術の需要が急増しており、同社は高付加価値製品に対応するため設備を追加導入し技術をアップグレードする戦略を採った。
部分稼働で成果も ― 業績は回復基調に
2025年3月には、同プロジェクトで計画された月産7,500枚分の新規能力が先行して稼働を開始しており、残りの7,500枚分の建設・技術更新も進行中である。今回の延期は、プロジェクト全体の完成度を高めるための調整措置とされている。
資金運用面では、80億元の調達資金のうち68.32億元がすでに投資済みであり、15億元の運転資金補充分も完了。残高約14億元(利息を含む)は一部が一時的に流動資金として使用されている。
稼働を開始した一部ラインはすでに収益貢献を始めており、2025年第3四半期までの業績では、和輝光電の売上高が40.02億元となり、前年同期比8.25%増を記録。依然として赤字ではあるものの、損失額は縮小し、営業キャッシュフローは前年同期比311.1%増加と大幅に改善している。
和輝光電は今回の延期について、「実際の進行状況を踏まえた慎重な判断であり、事業運営への重大な悪影響や株主利益の損失はない」と強調した。さらに同社は、製造装置メーカーへの納入促進を求めるとともに、技術アップグレードを加速し、2026年9月までに予定稼働を確実に実現すると表明している。