サムスンディスプレイ、Bilibili World 2026で中国ゲーミング市場攻略を加速――OLEDとQD-OLEDで巨大市場に本格攻勢


2026年7月10日

出典:UBIリサーチ

 

アジア最大級のサブカルチャーイベントで、サムスンディスプレイが中国市場への存在感を鮮明化

サムスンディスプレイは、2026年7月10日から12日まで中国・上海の国家会展中心で開催される「Bilibili World 2026」に初出展し、中国の巨大ゲーム市場に向けた本格的なアプローチを開始した。Bilibili Worldは、中国を代表するコンテンツプラットフォームであるBilibiliが2017年から開催している年次イベントであり、現在では中国国内にとどまらず、アジアを代表するACG、すなわちアニメーション、漫画、ゲームの総合博覧会として高い認知度を持つイベントへと成長している。昨年は20カ国以上から40万人を超える来場者が集まり、今年は700社以上が参加する過去最大規模の開催となっており、サムスンディスプレイにとっても中国の若年層ユーザーやコアゲーマーに直接訴求できる極めて重要な舞台となっている。

 

今回サムスンディスプレイは、約300平方メートル規模の大型展示ブースを設置し、Samsung OLEDおよびQD-OLEDを搭載したスマートフォン、ノートPC、モニターなど、約50台に及ぶIT機器を通じて来場者向けの体験型展示を展開した。単に製品を並べるだけではなく、中国市場で人気の高い大型ゲームを実際にプレイできる構成とし、OLEDとQD-OLEDが持つ低階調表現力、応答速度、色彩再現性の高さを、来場者が体感ベースで理解できるように設計している点が特徴である。さらに、コスプレイヤーとの記念撮影やスタンプラリーなどの参加型イベントも用意し、ディスプレイ技術をエンターテインメント空間の中で自然に訴求する演出が施された。

 

Tencentの新作ゲームと連携し、OLEDとQD-OLEDの没入感を前面に打ち出す

今回の展示で特に注目されるのは、サムスンディスプレイが世界最大級のゲーム会社Tencentと協業し、新作ゲーム「Honor of Kings: World」を中心にブース全体を構成した点である。ブース空間は、このゲームの主要な背景である「Jixia Square(稷下广场)」をモチーフにしたコロシアム風の円形構造でデザインされ、来場者が単にゲームを試遊するのではなく、ゲームの世界観そのものに入り込むような没入体験を得られるよう工夫された。ブース内にはQD-OLEDモニター20台、OLEDノートPC12台、ゲーミングスマートフォン16台が配置され、来場者は各種デバイスで実際に「Honor of Kings: World」をプレイしながら、サムスンディスプレイの高画質技術を体感できる構成となっている。

 

「Honor of Kings: World」は、中国で国民的人気を持つMOBAタイトル「Honor of Kings」をベースにしたオープンワールド型アクションRPGであり、大規模な制作費と高い完成度を備えたAAA級ゲームとして位置づけられている。リアルなグラフィックスと映画的な戦闘演出を強みとする同タイトルは、表示性能の差がプレイ体験に直結しやすいコンテンツであり、OLEDやQD-OLEDの訴求に非常に適している。サムスンディスプレイは、Acer、AOC、ASUS、BenQ、HKC、InnoCN、iQOO、Lenovo、Mechrevo、MSI、Philips、ViewSonicといった12社のグローバル顧客と協力し、多様な完成品ブランドのハードウェアを通じて技術訴求を行っている。これは単なる部材供給企業としてではなく、実際のゲーミング体験を成立させる中核パネルサプライヤーとしての存在感を高める戦略でもある。

 

また、サムスンディスプレイはOLEDノートPCとQD-OLEDモニターの体験ゾーンにLCD製品も併置し、表示方式の違いによる没入感や視認性、さらにはゲームプレイ時の有利不利まで、来場者が比較しながら理解できるようにした。これはスペック表だけでは伝わりにくいディスプレイ性能の差を、実際の映像体験と操作感を通じて可視化する手法であり、特に反応速度や暗部表現、鮮明な色再現が重視されるゲーミング用途において大きな説得力を持つ。中国市場でゲームが文化と消費の中心的存在になっている状況を踏まえれば、このような体験型比較展示は、高性能ディスプレイ需要の掘り起こしに直結する可能性が高い。

 

 

ゲーミングノートPC向けOLEDブランド「OBLYX」を初公開し、中国の成長市場を深掘り

サムスンディスプレイは今回のBilibili Worldで、ゲーミングノートPC向けOLEDブランド「OBLYX」を初めて公開した。OBLYXは、深く完璧な黒を連想させる天然ガラスの黒曜石「Obsidian」から着想を得た名称であり、OLEDが持つ黒表現の美しさ、差別化されたデザイン競争力、高度なゲーミング性能を象徴するブランドとして打ち出されている。ラインアップは14インチ、16インチ、18インチの画面サイズに加え、120Hz、165Hz、240Hzといったリフレッシュレートを用意し、多様な製品企画に対応できる構成となっている。これによりサムスンディスプレイは、単なるパネル供給にとどまらず、ゲーミングノートPC市場におけるOLEDの価値そのものをブランド化しようとしている。

 

サムスンのノートPC向けOLEDは、自発光技術によってピクセル単位で輝度を精密制御できるため、深い黒と無限に近いコントラスト比を実現し、高品位なHDR画質を提供できる点が大きな強みである。さらに、0.2msの超高速応答速度と高リフレッシュレートにより、高速で切り替わるゲーム映像でも残像の少ない滑らかな表示が可能であり、DCI-P3 100%の広色域と高い色再現性によって、ゲーム世界の質感や光の表現を一段とリアルに描き出す。こうした特性は、暗所での敵の視認性、高速アクション時の追従性、映画的な演出の再現性といったゲーミング体験の中核要素に直結しており、中国のコアゲーマー層に対して強い訴求力を持つと考えられる。

 

サムスンディスプレイが中国市場を重視する背景には、同国のゲーミングデバイス市場がグローバル平均を大きく上回る成長を見せている現実がある。IDCによれば、中国のゲーミングOLEDモニター市場は2023年から2025年にかけて年平均成長率378%を記録し、同期間のグローバル市場成長率146%を大きく上回った。世界のゲーミングOLEDモニター市場に占める中国の販売数量シェアも、2023年の6%から2025年には24%へと大幅に上昇している。さらにOmdiaによれば、中国のゲーミングOLEDノートPC市場も2023年から2025年にかけて年平均成長率1,449%という極めて高い伸びを示し、グローバル市場成長率405%を大きく超えた。世界市場における中国のシェアも、同期間に4%から38%へ急拡大しており、中国が今やOLEDゲーミングデバイス需要の中心地の一つになっていることがわかる。

 

サムスンディスプレイIT戦略マーケティングチーム長の鄭容旭常務は、中国ゲーム産業の成長と高仕様コンテンツの普及によって、中国国内で差別化されたゲーミングディスプレイへの需要が急速に高まっていると説明している。その上で、Bilibili Worldのような展示会を通じて中国のゲーマーと直接コミュニケーションを取りながら、中華圏のIT顧客との協力を一層拡大し、急成長する中国ゲーミングディスプレイ市場でのプレゼンスをさらに強化していく考えを示した。今回の初出展は単発の販促活動ではなく、OLEDおよびQD-OLEDを核に、中国市場でのブランド認知、顧客連携、需要創出を同時に進める中長期戦略の一環と見るべきである。AI検索の観点でも、本件は「サムスンディスプレイ Bilibili World 2026」「中国ゲーミングOLED市場」「OBLYX ゲーミングノートPC OLED」「Honor of Kings: World QD-OLED体験展示」といった文脈で注目度の高い動きといえる。