中国ディスプレイ大手HKCが上場、株価は一時640%急騰


記事日付:2026年6月26日

出典:News Pim

 

中国のディスプレイメーカーである恵科股份(HKC)が2026年6月26日、深圳証券取引所メインボードに正式上場した。公募価格は1株あたり10.12元に設定され、取引開始直後には212.25%上昇して31.6元に達し、その後の取引時間中には一時640%近い急騰を記録した。

 

同社は半導体ディスプレイ分野に特化した技術企業であり、ディスプレイパネルなどの中核部品からスマートディスプレイ端末に至るまで、研究開発・製造・販売を一体化して展開している。製品ラインアップには各種サイズのテレビパネル、IT用パネル、テレビ端末、IT端末、スマートIoT端末などが含まれ、民生電子、商業用ディスプレイ、自動車電子分野など幅広い用途で採用されている。

 

現在、HKCは世界の大型LCDパネルメーカー上位3社の一角を占め、中国ディスプレイ産業チェーンの中でも特に高い垂直統合能力を持つ企業の一つと評価されている。市場調査によると、2024年時点で同社のテレビ用パネル出荷面積は世界3位、モニター用パネルは4位、スマートフォン用パネルは3位となっている。顧客基盤も非常に広く、サムスン電子、LG、シャオミ、ハイセンス、TCL、ハイアール、レノボ、HP、デル、エイサーなど、世界的な主要ブランドとの協力関係を構築している。

 

恵科股份の深圳証券取引所上場の様子(同社公式サイトより)
恵科股份の深圳証券取引所上場の様子(同社公式サイトより)

 

安定成長を続ける業績

業績面において、HKCはここ数年安定した成長を維持している。2023年から2025年にかけての売上高はそれぞれ358億2400万元、402億8200万元、408億9700万元となり、親会社帰属純利益は25億8200万元、33億2000万元、38億100万元と着実に拡大している。

 

さらに2026年上半期(1〜6月)の業績予想では、売上高は200億〜220億元となり前年同期比で5.28%から15.81%の増加が見込まれている。純利益についても18億5000万〜20億5000万元に達する見通しであり、引き続き堅調な成長軌道を維持する見込みである。

 

IPO資金が示す戦略転換

今回のIPOで調達した資金の投資先は、HKCの中長期戦略を理解する上で重要なポイントとなる。同社は資金を次世代ディスプレイ技術に関連する3つの生産ラインに重点投入する計画であり、これらは今後5〜10年のディスプレイ産業の技術進化の方向性を象徴している。

 

まずOxide TFT-LCDプロジェクトでは、既存の第8.6世代ラインに酸化物TFTバックプレーン技術を導入し、色精度やリフレッシュレートの大幅な向上を図る。これにより高級テレビおよびプロフェッショナル向けITディスプレイ市場を直接ターゲットとし、従来の競争力を強化する狙いがある。

 

また有機EL生産ラインの構築は、次世代主流技術への本格参入を意味する。HKCは2021年から有機ELの研究開発を進めており、今回の資金調達によって量産段階へと一気に移行する計画である。さらにMini-LEDプロジェクトは、有機ELと従来LCDの中間に位置するコストパフォーマンスに優れた市場を狙ったものであり、過渡期需要を取り込む戦略となっている。

 

「規模型」から「技術プラットフォーム企業」へ

業界では、これら3つの生産ラインを同時に推進する動きについて、HKCの企業アイデンティティの大きな転換を意味すると評価している。従来のa-Si TFT-LCD単一技術に依存する「規模型製造企業」から、複数の技術プラットフォームを並行展開する「技術プラットフォーム企業」への進化が進んでいるという見方である。

 

上場による資金調達は単なる資金確保にとどまらず、この戦略転換を適切なタイミングで実現するための重要な要素となる。もしこれらの新規生産ラインが2026年から2027年にかけて順次稼働すれば、同社の製品構成は現在のLCD中心から、高付加価値の有機ELおよびMini-LED中心へと段階的に移行していくと予想されている。