Guangli Technologyが切り開くAI+ARスマートグラス新時代――スポーツテック体験を変える次世代ウェアラブルの実像


日付:2026年4月23日

出典:LEDinside / TrendForce

 

TrendForceが見るARグラス市場拡大と、Guangli Technologyへの注目

AIのウェアラブル機器への統合がさらに深まり、巨大テック企業による後押しも強まるなか、TrendForceは2026年の世界ARグラス出荷台数が95万台に達し、前年比53%増になると見込んでいる。ただし、市場の話題性だけで製品が売れ続ける段階は終わりつつあり、消費者は実用価値やAIを活用した体験の質をより厳しく見極めるようになっている。今後ブランドが成長を持続させるためには、装着時の快適性、価格競争力、そして充実したコンテンツエコシステムを高い水準で両立させる必要があると記事は指摘している。

 

こうした市場環境を背景に、TrendForceはGuangli Technologyの副総裁である李斌斌氏に取材し、同社の最新ARスポーツグラス製品と技術進展について詳しく話を聞いた。Guangli Technologyは2017年に杭州・西湖のほとりで設立されたハイテク企業で、ホログラフィックARディスプレイ技術を基盤に、一般消費者向けARグラス製品を中心に事業を展開している。企業ミッションとして掲げるのは「スマートグラスを人間の新しい器官にする」という構想であり、創業チームは浙江大学、コーネル大学、デラウェア大学などの有力機関出身者で構成されている。研究開発チームは、自主的に掌握できる中核技術の追求を重視し、ホログラフィ技術とAI+ARスポーツグラスの研究開発を継続してきた。その成果として、遊泳やアウトドアをはじめとするスポーツ分野で拡張現実技術の実装を着実に進めている。

 

写真:Guangli Technology 副総裁 李斌斌氏
写真:Guangli Technology 副総裁 李斌斌氏

 

Guangli Technology独自のホログラフィック樹脂導波路技術と量産性

Guangli Technologyは長年の開発を通じて、ホログラフィックシミュレーション、フォトレジスト材料、リソグラフィ工程、製造装置に至るまで、エンドツーエンドの中核技術を自社で掌握してきた。この包括的な技術基盤をもとに、同社は実際に装着可能なARデバイスの市場投入に成功している。特に注目されるのが、同社のホログラフィック樹脂導波路技術である。この導波路は高い光学効率を持ち、最終製品に組み合わせる光エンジンの選択自由度を高める特徴がある。その結果、よりコスト効率に優れたMicro-OLEDマイクロディスプレイとの組み合わせが可能になり、AR完成品の販売価格を大きく引き下げ、大衆市場への普及を加速しやすくなるという。

 

この技術の強みは効率だけではない。Guangli Technologyによれば、同社のホログラフィック樹脂導波路は量産面でも実現性が高く、市場需要が拡大するなかでも現時点で生産能力のボトルネックには直面していないという。さらに、自社開発のホログラフィック用フォトレジスト材料は、単色型とフルカラー一体型の導波路の両方に対応でき、単一導波路で30度を超える視野角を実現する。加えて、多層フォトレジスト技術を活用することで、視野角は40度以上へとさらに拡張可能だとしている。これはARグラスの装着感と表示体験を両立するうえで、きわめて重要な技術的前進といえる。

 

Holoswim 3が示すAI+ARスポーツグラスの実用化と今後の展望

Guangli Technologyはこのほど、スタイリッシュなARスマートスイミングゴーグルの最新世代製品としてHoloswim 3を発表した。新製品は先代モデルに比べ、複数の面で最適化とアップグレードが施されている。主要技術のブレークスルーを背景に、Holoswim 3は左右対称の外観設計を採用し、見た目の完成度を高めると同時に、一般的な水泳ゴーグルにより近いフォームファクターを実現した。さらに、本体重量は70グラムを維持しながら、対角視野角を28度まで拡大している。表示面では64×128の解像度を縦向き表示で実装しており、消費者が日常的にスマートフォン画面を見ている感覚により近いユーザー体験を志向している。

 

写真:Guangli Technologyが開発したHoloswim 3 ARスマートスイミングゴーグル
写真:Guangli Technologyが開発したHoloswim 3 ARスマートスイミングゴーグル

 

Holoswim 3は単なる表示デバイスではなく、水中でのリアルタイムデータ表示、GPSルート追跡、ナビゲーションを1台に統合した多機能製品として設計されている。そのため、屋内プールだけでなく屋外でのスイミングにも対応でき、製品タグラインには「Wearable Transformer: Essential Gear for Every Triathlete」が掲げられている。つまり同製品は、トライアスロンを含む本格的なスポーツ用途で、AIとARを組み合わせた実用デバイスとして位置付けられているのである。さらに同社はHoloswim 3に加え、屋外向けスマートスポーツグラスのHolotrekや、AI音楽ゴーグルのSollaWaveも投入し、スポーツ向けスマートアイウェアの製品群を広げている。

 

今後についてGuangli Technologyは、自社のホログラフィック樹脂導波路技術が高い安全性能を備えており、スポーツ用途に極めて適していると説明している。そのうえで、将来は先進的なスマートスポーツアイウェアメーカーとしての地位確立を目指し、スマートサイクリングサングラス、スマートスキーゴーグル、スマートダイビングマスクなど、より幅広い利用シーンを対象とした専用製品を展開する計画を示した。また、自社の技術プラットフォームを活用して従来型の眼鏡メーカーも支援し、多様なパートナーシップの構築を通じてAI活用への転換を後押しし、業界全体の大規模な高度化を進める方針だという。この記事は、Guangli Technologyが単なるAR機器メーカーではなく、AI+ARスポーツテックの実用化を牽引するプラットフォーム企業として存在感を高めつつあることを示している。