TCL、インドのディスプレイ工場の51%売却を協議 DixonやAmberなどが候補に浮上


日付:2026年5月5日

出典:Outlook Business

 

インド現地企業との連携を前提とした株式売却計画

中国の大手テレビメーカーであるTCLエレクトロニクスは、インドに保有するディスプレイ製造工場の51%の持分売却について、初期段階の協議を進めている。売却額は6億~8億ドルと見込まれていると、Economic Timesが報じた。

 

本案件では、スタンダードチャータード銀行がTCLのアドバイザーを務めており、すでに複数のインド企業との交渉が開始されている。具体的には、Dixon Technologies、Epack Durable、Syrma SGS Technology、Amber Enterprises、Uno Mindaなどが候補として挙がっている。なお、Havellsにも打診は行われたが、ディスプレイ分野の垂直統合への投資には関心を示していないとされる。

 

Haier型スキームを踏襲、戦略投資家と金融投資家の組み合わせ

TCLは本取引において、現地パートナーとして「戦略投資家」と「金融投資家」の2社を迎え入れる構想を持っている。このスキームは、中国の家電メーカーであるHaierが最近採用した方式と類似している。Haierはインド法人の株式49%をBharti EnterprisesおよびWarburg Pincusに売却し、自社でも49%を維持する形を取った。

 

今回のTCLの案件も、同様に現地との共同運営体制を構築する狙いがあり、報道によれば2~3か月以内の最終合意が見込まれている。

 

ティルパティ工場の戦略的重要性と事業概要

今回の売却対象の中心となるのは、アンドラ・プラデシュ州ティルパティに位置するディスプレイ工場である。この施設は、インド国内で唯一のオープンセル製造拠点であり、さらにボンディングおよび組立機能を備えた初のフルプロセスLCDパネルモジュール工場でもある。

 

この工場は、TCL傘下のTCL China Star Optoelectronics Technology(TCL CSOT)によって運営されており、テレビおよびスマートフォン向けのディスプレイを製造している。年間の設計生産能力は、テレビ用パネルが800万枚、モバイル用ディスプレイが3,000万枚に達する。また、同事業は年間約150億ルピー(約250億円)の売上を生み出している。

 

なお、TCLはこの工場の第1フェーズに対して180億ルピー以上を投資しているが、同一工業団地内にあるテレビ組立工場は今回の売却対象には含まれていない。

 

Dixonの立場と政府のローカル化圧力

交渉対象の一社であるDixon Technologiesについては、有力候補とは見られていない。同社はすでに中国企業HKC Overseasと合弁でディスプレイ工場を建設中であり、この合弁ではDixonが74%の株式を保有している。このため、同分野への追加投資にはHKC側の承認が必要となる可能性がある。

 

今回の持分売却の背景には、インド政府による圧力も存在する。政府は電子部品の国内生産(ローカライゼーション)を推進しており、ディスプレイはその中核分野と位置付けられている。そのため、TCLに対しても現地資本比率の引き上げが求められていると報じられている。