日付:2026年5月13日
出典:ET News
20周年iPhoneに続く次世代4面ベンディング構想が始動
アップルは、来年の20周年iPhoneに適用を計画している「4面ベンディング」ディスプレイを、2028年モデルでさらに高度化する方針だ。これに合わせて、有機ELパネルを供給する韓国のサムスンディスプレイとLGディスプレイも、次世代仕様への対応準備に入った。業界によると、アップルは2028年に発売するiPhone向けの次世代4面ベンディングディスプレイに、新たな透明電極技術を導入する方向で、韓国のディスプレイメーカーと協議を始めたという。
4面ベンディングディスプレイは、有機ELの端部を四方で折り曲げることで、表示面の周囲にあるベゼルを極限まで細く見せる技術だ。アップルはすでに、来年発売予定の20周年iPhoneに向けてこの技術の採用を準備しているが、2028年モデルではその完成度を一段と高め、表示品質とデザイン性の両面でさらなる進化を目指している。スマートフォン市場では、フルスクリーン化やベゼル極小化が高級機の競争力を左右する重要要素になっており、アップルの今回の判断は次世代iPhoneの外観設計と表示技術の方向性を示す動きとして注目される。
IZO透明電極の導入で歪みと輝度低下の課題を改善へ
現在の有機ELディスプレイでは、ディスプレイの陰極層にマグネシウム・銀合金(Mg・Ag)が使われている。しかし、この方式では4面ベンディングのように端部を大きく折り曲げた際、曲がる部分で画面の歪みが発生する可能性があり、さらに輝度、つまり単位面積当たりの光度が低下しやすいという課題がある。特に、スマートフォンで広く採用されている前面発光型の有機ELは、発光した光が必ず陰極を通過する構造のため、電極の透明性が表示品質に直結する。
この問題を解決するため、アップルは2028年製品でディスプレイ陰極層をインジウム・亜鉛酸化物(IZO)に切り替え、透明電極を実現する計画だ。陰極の透明度が高まれば、ディスプレイ端部で生じる表示の歪みを最小化しやすくなり、4面ベンディング構造でもより均一で自然な表示を維持しやすくなる。加えて、光の透過効率が改善されれば、ベゼル付近での輝度低下も抑えられる可能性が高い。これは単に見た目の洗練度を高めるだけでなく、実使用時の視認性やプレミアム感にも直結する重要な技術変更といえる。
アップルが4面ベンディングディスプレイを単発のデザイン要素ではなく、透明電極技術まで組み合わせて進化させようとしている点は大きい。折り曲げディスプレイの採用だけでは残っていた弱点に対し、材料と構造の両面から対策を進めることで、スマートフォン向け有機ELの新たな標準仕様を先取りしようとしている構図が浮かび上がる。
LGディスプレイが先行投資、サムスンディスプレイも新ライン検討
アップルに有機ELパネルを供給する韓国ディスプレイ業界も、この新技術への対応を本格化させている。業界関係者によると、サムスンディスプレイとLGディスプレイは、2028年発売製品向けにこの技術を適用する必要があるため、関連する製造装置投資が不可欠な状況だという。特に先行して動いたのはLGディスプレイで、同社が先月発表した1兆1060億ウォン規模の有機EL新規インフラ投資は、この技術の開発と量産対応を視野に入れたものとみられている。
陰極層をIZOで形成するには、蒸着工程の製造装置に低ダメージ透明導電性酸化物(TCO)スパッタ技術が求められる。LGディスプレイは今回の投資で関連製造装置を整備し、まず研究開発に活用した後、性能や工程を補強して次世代4面ベンディングディスプレイの量産用として活用する計画と伝えられている。これは単なる試験導入ではなく、アップル向け次世代iPhoneの実量産を見据えた布石と受け止められている。
一方、サムスンディスプレイも今後の製造装置構築を検討している。既存のスマートフォン向け有機EL製造ラインは、TCOスパッタ製造装置を新たに設置するには空間面でも設計面でも制約が大きいとされる。このため業界では、サムスンディスプレイが新規ライン投資に踏み切る可能性が高いとみている。アップルがスマートフォンにベンディングディスプレイを導入し、その弱点を補う技術まで提示したことで、今後はスマートフォン向けベンディングディスプレイの採用が広がり、韓国ディスプレイ業界の受注拡大や技術競争力の強化につながるかどうかに関心が集まっている。今回の動きは、アップルの次世代iPhone戦略であると同時に、サムスンディスプレイとLGディスプレイの中長期的な有機EL投資戦略を占う重要なシグナルとして位置付けられそうだ。