青色OLEDの短寿命問題に突破口、KISTIとKAISTが分子設計技術を開発


記事日付: 2026年1月14日

出典: 韓国国内報道(KISTI/KAIST発表)

 

青色有機ELの課題に正面から挑んだ研究成果

韓国の研究チームが、長年ディスプレイ産業の課題とされてきた青色有機EL(OLED)の短寿命問題を、発光色を変えずに解決できる新たな分子設計原理を提示した。今回の技術は、将来的にディスプレイの消費電力削減と製品寿命の大幅な向上につながると期待されている。

 

韓国科学技術情報研究院(KISTI)は2026年1月14日、同院スーパーコンピューティング加速化研究団の金在旭(キム・ジェウク)主任研究員と、韓国科学技術院(KAIST)の金宇淵(キム・ウヨン)教授による共同研究チームが、青色有機ELの寿命を大きく延ばす発光材料の分子設計技術を開発したと発表した。

 

スーパーコンピュータを活用した発光材料設計プロセスの模式図。(KISTI提供)
スーパーコンピュータを活用した発光材料設計プロセスの模式図。(KISTI提供)

 

有機ELは、有機材料自体が発光する自発光型ディスプレイとして、高輝度、高コントラスト、低消費電力といった特長を持つ。一方で、赤色や緑色に比べ、青色有機ELは高効率材料の寿命が極端に短く、実用化や量産化の大きな障壁となってきた。

 

研究チームは、白金(プラチナ)をベースとした高効率青色発光材料に着目し、発光過程において分子内部の特定の結合が切断されることが、寿命低下の主因であることを突き止めた。さらに、発光波長や色純度を変えることなく、その結合部分のみを選択的に強化する分子設計原理を導き出した点が今回の最大の成果である。

 

既存OLED製造装置に適用可能な新材料候補

研究チームは、KISTIが保有する国家スーパーコンピュータ5号機「ヌリオン(NURION)」を活用し、100種類以上の分子構造をシミュレーションによって精査した。その結果、既存の有機EL製造装置や製造プロセスにそのまま適用可能な6種類の新たな青色発光材料候補を選定することに成功した。

 

これらの材料は、従来材料と比べて安定性指標が約2倍に向上している一方で、深い青色発光特性を維持していることが確認されている。このことは、発光効率と色再現性を犠牲にせず、寿命のみを改善できる可能性を示しており、スマートフォン、IT用ディスプレイ、テレビ向け有機ELパネルへの応用が現実味を帯びてきた。

 

KAISTの金宇淵教授は、「青色有機ELの短寿命問題は、ディスプレイ産業における長年の宿題だった」としたうえで、「今回の研究は、発光色を変えずに安定性だけを選択的に高める分子設計原理を示した点に大きな意義がある」と説明している。

 

今回の成果は、次世代有機ELディスプレイの低消費電力化、長寿命化を支える基盤技術として、材料メーカーやパネルメーカーの研究開発に広く影響を与えるとみられており、青色有機EL実用化に向けた重要な転換点になる可能性がある。