2026年1月15日/出典:CINNO Research(朝鮮日報報道を基に)
サムスンディスプレイ、第8.6世代OLEDの量産出荷を正式開始
2026年1月15日付の朝鮮日報によると、サムスンディスプレイは第8.6世代OLEDパネルの量産を正式に開始し、すでに顧客向けに有償での出荷を行っている。出荷されているのは、検証工程を経て高い歩留まりを確保したサンプル品で、これら第8.6世代の新ラインで製造されたOLEDパネルは、年内に発売される新型ノートパソコンに搭載される予定だとされている。
業界関係者によれば、サムスンディスプレイは15日、韓国・牙山(アサン)工場において「出荷式および安全祈願行事」を開催し、第8.6世代OLED製品の出荷開始と生産ラインの本格稼働を祝ったという。
IT向けOLED市場を見据えた戦略的量産
ディスプレイ業界関係者は、「サムスンディスプレイはIT向け有機EL市場の主導権を確保するため、非常に迅速に動いている」と指摘する。投資決定の翌年にあたる2024年半ばから試験稼働を開始し、同年末にはすでに顧客へのサンプル出荷を始めていたという。
報道によれば、サムスンディスプレイは今回の量産出荷を足がかりに、IT向け有機EL市場での優位性をさらに強固なものにする狙いだ。CES 2026の会場で取材に応じた同社社長の李清(音訳)は、「新たな第8.6世代生産ラインを安定的に運営できるかどうかが極めて重要だ。順調に進めば、今年のIT系製品の売上高は20~30%成長すると見込んでいる」と語っている。
第8.6世代OLEDは、現在主流となっている第6世代OLEDと比べてガラス基板サイズが約2.2倍に拡大しており、パネル1枚当たりの生産効率が大幅に向上する。これにより製造コストの低減が可能となり、IT機器向け大画面OLEDの普及を後押しする重要な技術基盤と位置付けられている。
グローバル競争が加速する第8.6世代OLED投資
サムスンディスプレイは2023年、既存のLCD生産ライン「L8」を改造し、IT向け有機EL専用のA6ラインを新設する計画を世界に先駆けて公表した。これは世界初となる第8.6世代OLED量産ラインであり、投資規模は約4兆1,000億ウォンに達するとされている。市場関係者の間では、このラインが2026年第2四半期から第3四半期にかけて本格量産に入り、アップル向けにパネルを供給するとの見方が強い。
一方、中国最大のディスプレイメーカーであるBOEも、2023年に四川省成都市で総額630億元を投じ、月産3万2,000枚規模の第8.6世代OLEDパネル生産ラインを建設する計画を発表した。これを契機に、第8.6世代ラインへの投資競争が業界全体に広がり、その後VisionoxやTCL CSOTも相次いで参入を表明している。現時点では、LGディスプレイは第8.6世代OLED生産ラインへの具体的な投資計画を公表していない。
OLEDシフト加速の中で広がる差別化
専門家の間では、サムスンディスプレイが第8.6世代OLEDの量産を順調に立ち上げることができれば、競合他社との間に明確な差が生まれるとの見方が多い。パソコン、ノートパソコン、タブレットといったIT機器市場自体の成長は鈍化しつつあるものの、ディスプレイにおけるLCDから有機ELへの転換スピードはむしろ加速しているためだ。
業界関係者は、「第8.6世代OLED生産ラインが本格稼働すれば、サムスンディスプレイは価格競争力の面で大きな優位性を持つことになる。今回のOLEDパネルは、まずアップルの新型MacBookに初採用される可能性が高く、将来的には技術成熟とともにモバイル機器向け有機ELへと展開が広がることで、サムスンディスプレイの業界トップとしての地位はさらに強固になるだろう」と分析している。