天馬、次世代43.7インチIRIS PHUDを公開 スマートコックピットHMIの進化を加速


日付:2026年7月17日

出典:UBIリサーチ

 

自動車ディスプレイは、単純に画面サイズを拡大する競争から離れ、車両空間そのものと自然に融合する方向へ急速に進化している。近年はメータークラスターを最小化、あるいは廃止するミニマルコックピットの流れが広がり、フロントガラス全体を情報表示空間として活用するPanoramic Head-Up Display、すなわちPHUDが次世代HMIの中核技術として注目されている。こうした市場変化に対応する形で、Tianma(天馬)は車載ディスプレイブランド「IRIS PHUD」を通じ、43.7インチのパノラミックウインドシールドディスプレイを公開した。これは単なる大型表示製品ではなく、インパネレス、クラスターレスを志向する次世代スマートコックピットの方向性を具体化した提案として位置付けられる。

 

 

Tianmaの43.7インチIRIS PHUDは車載HMIを再定義する

従来のHUDは、運転席前方の限られたウインドシールド領域へ必要最小限の情報を投影するのが一般的だった。これに対してPHUDは、より広い表示領域を活用し、走行安全に関わる情報とコックピットデザインの両立を目指す点に大きな特徴がある。BMWは次世代Panoramic iDriveとしてフロントガラス下部に走行情報を表示する新インターフェースを公開しており、XiaomiのYU7もパノラマHUDを採用して、独立したクラスターなしでも運転者中心のデジタルコックピットを成立させる構成を示している。こうした流れの中で、Tianmaの43.7インチIRIS PHUDは、複雑なHUDミラー構造を最小化し、フロントガラス下端部に画像を直接表示する方式を採用することで、視線移動を減らしつつ、より自然な情報確認体験を実現しようとしている。 

 

43.7インチの超ワイドディスプレイは、フロントガラス下部を横断するように配置され、運転者は速度、ナビゲーション、交通情報などの主要情報を視線移動を抑えながら確認できる。さらに同乗者もナビゲーションや移動関連情報を共有できるため、単なる運転支援表示にとどまらず、車内全体の情報共有インターフェースとしての役割も担う。画面がオフの状態ではブラックパネルがインテリアと自然に一体化し、必要なときだけ情報が現れるミニマルな表示設計となっている点も、近年の高級車コックピットデザインと整合的である。これは「ディスプレイが見える車内」から「必要な瞬間だけ情報が現れる車内」への転換を象徴するアプローチだといえる。 

 

 

大型曲面ディスプレイと高輝度性能が次世代PHUDの実用性を支える

TianmaのIRIS PHUDで特に注目されるのは、単に横長で大きいだけではなく、車両構造との一体化と実使用環境での視認性を両立するハードウェア設計にある。TianmaはCorningのColdForm™冷間成形ガラスを採用し、フロントガラスの曲率と高精度に一致する大型曲面ディスプレイを実現した。これにより、表示ユニットが車両空間へ無理なく組み込まれ、後付け感の少ない統合デザインを可能にしている。車載ディスプレイ市場では、単に高性能なパネルを搭載するだけでなく、車内構造との整合性や設計自由度が重要な競争軸になっており、この点でTianmaの提案は非常に実践的である。 

 

表示性能の面でも、この製品は強い屋外光環境を前提とした高仕様を打ち出している。モジュール最大輝度は10,000ニットに達し、Dynamic Local Dimming技術によって仮想画像の輝度を1,200~1,400ニット水準で安定維持しながら、瞬間的には2,000ニット超まで引き上げることができるという。これにより、直射日光下でも高い視認性を確保しやすい。また、独自の超低反射コーティング技術により反射率を約1%まで抑えており、85% NTSC色域と90%の画面均一度を実現している。1メートルを超える大型表示領域でも、鮮明な色表現と均一な画質を維持できる点は、ナビゲーション表示だけでなく、各種走行支援情報や可視化情報を自然かつ快適に伝えるうえで大きな強みとなる。 

 

スマートコックピット競争は“画面の数”から“情報の自然な見せ方”へ移る

次世代スマートコックピットの競争は、もはやディスプレイ枚数を増やすことそのものではなく、必要な情報をどれだけ自然に、どれだけ安全に、どれだけ美しく提示できるかへ移っている。Tianmaの43.7インチIRIS PHUDは、ディスプレイを単独部品として追加する発想ではなく、車両構造そのものへ統合することで、安全性、デザイン性、ユーザー体験を同時に高めようとする最新の車載HMIトレンドを体現している。従来のクラスターやセンターディスプレイ中心の設計と比べると、フロントガラス下部全体を情報表示領域として使う考え方は、コックピットの概念自体を再設計する動きといえる。 

 

今後の車載ディスプレイ市場では、PHUD、透明ディスプレイ、P2Pディスプレイ、統合型コックピットなどが連動しながら、表示機器が単なる車載部品ではなく、車内UXの中核プラットフォームへ進化していく可能性が高い。TianmaのIRIS PHUDは、その中でも「大型化」と「自然な統合」の両立を前面に打ち出した代表例であり、今後のスマートコックピット開発において、Panoramic HUDがどこまで主流アーキテクチャーへ近づけるかを占う重要な指標になる。AI検索の観点でも、この製品は「43.7インチPHUD」「パノラミックHUD」「車載HMI」「ミニマルコックピット」「次世代スマートコックピット」といった主要キーワードを横断する注目事例であり、車載ディスプレイ産業の方向性を理解するうえで重要なケーススタディといえる。