サムスンディスプレイ、スマートウォッチ向けマイクロLED専用パイロット製造装置を構築


2026年5月27日

出典:ET News

 

サムスンディスプレイが、スマートウォッチ向けマイクロLEDディスプレイ専用の製造装置を構築していることが明らかになった。まずはパイロットレベルの試験ラインを立ち上げ、その後の量産化の可能性を検討する方針とみられる。次世代ディスプレイとして注目されるマイクロLEDが、いよいよ本格量産へ進展するかに関心が集まっている。

 

業界によると、同社は韓国・忠清南道牙山にあるA2キャンパス内の第5.5世代ライン(クォーターカット=4分割ライン)において、スマートウォッチ用マイクロLEDディスプレイ専用の製造装置を導入中である。

 

サムスンディスプレイが2025年8月のK-ディスプレイ展示会で公開したスマートウォッチ向けカーブドマイクロLEDディスプレイ
サムスンディスプレイが2025年8月のK-ディスプレイ展示会で公開したスマートウォッチ向けカーブドマイクロLEDディスプレイ

 

マイクロLED量産を見据えたパイロットライン構築

関係者によれば、マイクロLEDの製造工程では、チップの転写、接合、検査、リペア(修復)といったプロセスが重要であり、サムスンディスプレイは2025年末から2026年初頭にかけて関連製造装置メーカーの選定を完了したという。これらの製造装置は年内に搬入される見通しである。さらに、2026年中にパイロット設備を構築した後、2027年下半期以降には量産投資の可能性についても議論が進むとされる。

 

同社は2023年にスマートウォッチ向けマイクロLED開発プロジェクトを開始しており、これまで蓄積してきた技術を基に、自社工場で実際のプロセス検証を進めることで商用化を加速する狙いがあると分析される。

 

技術的優位性と量産化の課題

マイクロLEDは、10マイクロメートル以下の超小型LEDチップを画素として利用するディスプレイ技術である。無機材料を使用するため、理論的には有機ELよりも長寿命であり、高輝度かつ低消費電力という優れた特性を持つ。

 

一方で、数万個規模の微小チップを高精度に配置・制御する必要があるため、製造プロセスは極めて複雑であり、コストも高い。この高い技術難易度が、マイクロLEDの量産化を阻む最大の要因となっている。

 

実際、アップルは10年以上にわたりApple Watch向けマイクロLED開発を進めてきたものの、2024年にプロジェクトを断念したとされる。複数の技術的障壁が解決できなかったことが背景にあるとみられる。ただし、アップルは自社主導の開発からは撤退したものの、将来的にマイクロLEDを採用する可能性は依然として高いと業界では見られており、各ディスプレイメーカーは開発を継続している。

 

2025年には台湾のAUOがガーミンのスマートウォッチ向けにマイクロLEDディスプレイを供給し、一定の商用化に成功したが、依然として初期段階にあり、消費電力のさらなる低減や製造プロセスの効率化など、多くの課題が残されている。

 

サムスンディスプレイがこれらの技術的課題を克服し、スマートウォッチ向けマイクロLEDの量産化を実現できるかが注目される。特に、アップルとサムスン電子のプレミアムスマートウォッチ市場における競争構図にどのような影響を与えるかが焦点となる。市場調査会社カウンターポイントリサーチによると、2025年のスマートウォッチ市場ではアップルがシェア23%で首位、サムスン電子は7%で4位となっている。