2025年11月28日 出典:Quark-display
1.協業拡大の背景と両社を取り巻く圧力
11月25日に発表されたファーウェイのMate80シリーズのスマートフォン用ディスプレイ、そしてMate X7折りたたみスマートフォン用ディスプレイは、BOE AとVisionoxが共同で供給している。BOEとファーウェイが深く協業するようになった背景には、両社を外部から取り巻く強い圧力がある。
2019年、アメリカ政府からの厳しい制裁により、ファーウェイのスマートフォン出荷量は、一時世界1位からほぼゼロに転落した。一方、BOEはサムスンディスプレイから複数回にわたり訴訟を受け、同社製品がサムスンの「ダイヤモンドピクセル配列」特許を侵害していると主張された。
このような外的要因が両社の深い結び付きを強め、共闘体制を築く大きな推進力となった。
2.フレキシブルディスプレイから折りたたみ端末まで:協力の深化
BOEが有機ELパネルの量産を開始したのは2017年であり、その翌年に発売されたファーウェイMate 20 Proは、初めてBOEのフレキシブルディスプレイを採用した。この採用は極めて重要な意味を持っていた。BOEのAMOLEDディスプレイが解像度、画素密度など主要性能でトップレベルに到達したことを証明し、両社の信頼関係構築の基盤を築いたからである。
2019年には成都で戦略協力協定を締結し、「戦略供給者」および「戦略顧客」として相互に優先供給・優先調達を約束した。同年、ファーウェイ初の折りたたみスマートフォンMate Xが発売され、その折りたたみディスプレイもBOEが提供した。これは両社の協業が業界最先端技術の領域へと踏み込んだ証左であった。
2020年代に入ると、協力は供給関係から共同技術開発へと発展していく。とりわけ象徴的な出来事は2022年、BOEが独自開発した「ハニカム配列」ディスプレイ技術が量産に投入され、さらにファーウェイ海思と共同開発した「HW&BOE AMOLED Drive」チップを採用した点である。海思が主導したこの駆動チップは、両社の技術融合の典型であり、Honor Magic V折りたたみスマートフォンに初めて搭載された。このことは両社の協業がコア部材レベルにまで踏み込んでいることを意味する。
2025年11月時点でも最新のMate80シリーズにBOEがディスプレイを供給しており、BOEがファーウェイのフラッグシップ機に不可欠な存在であることは変わっていない。
3.ハニカム配列技術とサムスンとの特許対立
サムスンディスプレイは、自社のダイヤモンド配列特許を根拠にBOEを繰り返し提訴し、アメリカ国際貿易委員会(ITC)には337条調査も申し立てた。これに対してBOEも中国と米国で反訴し、重慶の裁判では第一審で勝訴している。
サムスンの特許網を回避するため、BOEは2020年8月に独自のハニカム配列技術を開発し、関連特許も取得した。この技術は、より優れた表示品質や高い画素密度を達成するために設計されたもので、例えば7インチクラスで最大720PPIを実現可能とされる。ファーウェイとBOEの協業は、このような技術的ハードルを突破し、国産ディスプレイ技術の発展を推進することを目的としている。
さらにディスプレイ産業においては、パネルだけでなく駆動チップが極めて重要である。駆動チップはディスプレイの「頭脳」と呼ばれ、1画素ごとの輝度と色を制御する。海思の高度なチップ設計力と、BOEの製造技術が結びついたことで、ソフトウェアとハードウェアの深いレベルでの最適化が実現され、高輝度、色精度、タッチ応答性などディスプレイ全体の性能が大幅に向上した。
4.両社が握る巨大な成長ポテンシャル
第三者機関のデータによれば、ファーウェイは2025年4月にスマートフォン世界出荷量で初めてサムスンを抜き、市場シェア21%で世界1位となった。サムスン電子の19.1%を上回った形であり、ファーウェイのブランド力と新製品投入ペースが市場支配力を強めている。世界市場でアップルを抜き出荷量首位を獲得するのも時間の問題とみられている。
また2025年第2四半期には、中国主要パネルメーカーの世界OLED市場におけるシェアが約50%に達し、そのうちBOEは15%で世界2位を占めた。BOEは未来のハイエンドIT市場を狙い、先端的な8.6世代OLED生産ラインへの投資を継続しており、2026年第3四半期の量産開始を計画している。
総じてファーウェイはBOEのディスプレイの物理設計や製造に直接関わっているわけではない。しかし自社のチップ設計能力や端末統合能力という核心技術を投入し、BOEとの強固な戦略連盟を形成している。技術開発と市場需要という両面からBOEの有機EL技術を後押しし、両社は「研究開発―応用―フィードバック―改善」という好循環を築きつつある。