TCL CSOT、Galaxy A57向けにフレキシブルOLEDを初供給――サムスン電子サプライチェーン参入の意味


2026年1月16日/出典:UBI Research

 

サムスン電子スマートフォン向けに初のフレキシブルOLED供給

TCL CSOTが、サムスン電子のスマートフォンに向けてフレキシブルディスプレイ用の有機ELパネルを初めて供給することに成功した。業界関係者によると、TCL CSOTはGalaxy A57モデルに搭載されるフレキシブル有機ELパネルを初供給しており、2025年までに約40万台規模のパネルをすでに生産したと把握されている。本格的な量産と供給拡大は、2026年以降にGalaxy A57向け製品を中心として進められる見通しだ。

 

Galaxy Aシリーズのパネル調達構造の変化

これまでサムスン電子のGalaxy Aシリーズには、主としてリジッド有機ELが採用されてきた。過去にはBOEをはじめとする中国系パネルメーカーが供給を担った時期もあったが、その後、中国OLEDメーカー各社がスマートフォン向けリジッド有機ELラインの整理を進める流れが生じた。これと同時に、サムスン電子がGalaxy Aシリーズのパネル調達をサムスンディスプレイに一本化したことで、Aシリーズ向けリジッド有機ELは事実上、サムスンディスプレイが独占供給する体制が続いてきた。

 

しかし、Galaxy Aシリーズの上位モデルであるA57からフレキシブル有機ELの採用が決定されたことで状況は変わりつつある。サムスン電子が今回TCL CSOTのパネルを採用した背景には、Aシリーズ全体のパネル単価を引き下げる狙いがあるとみられている。フレキシブル有機ELの導入によって製品仕様を引き上げつつ、コスト競争力を確保するという戦略的判断が働いた形だ。

 

サムスン電子 Galaxy A56 スマートフォン
サムスン電子 Galaxy A56 スマートフォン
TCL CSOTの企業ロゴおよび展示ブース
TCL CSOTの企業ロゴおよび展示ブース

 

初期物量は限定的も、戦略的意義は大きい

一方で、供給数量という観点から見ると、今回のGalaxy A57向けパネルの規模はまだ限定的である。TCL CSOTの2025年におけるスマートフォン向けOLEDパネル出荷量は年間約8,100万台と推定されており、そのうちGalaxy A57向けの40万台は全体の約0.5%に過ぎない。また、サムスンディスプレイが供給しているGalaxy Aシリーズ全体のパネル数量と比較しても、その差は依然として大きい。

 

それでも、サムスン電子という世界最大級のスマートフォンメーカーのサプライチェーンに参入したという象徴的な意味は非常に大きい。今後、中低価格帯モデルを中心にフレキシブル有機ELの採用が拡大すれば、TCL CSOTにとって供給機会が段階的に広がる可能性があると業界では見られている。

 

Xiaomi中心からの顧客構成多様化に期待

現在、TCL CSOTの最大顧客はXiaomiであり、出荷数量ベースで50%を超えるシェアを占めているとされる。これに続く主要顧客としては、Vivo、Motorola、Huaweiなどが挙げられる。今回のGalaxy A57向け供給を契機に、TCL CSOTがサムスン電子の中低価格スマートフォンラインアップにおいて、フレキシブル有機ELパネルの供給機会をどこまで拡大できるかが注目されている。

 

初期の数量は小さいものの、サムスン電子という重要顧客を新たに獲得した事実そのものが、TCL CSOTのスマートフォン向け有機EL事業の競争力を一段階引き上げる転機になり得る、という評価が業界内では広がっている。