日付:2026年4月23日
出典:THE ELEC
3四半期連続黒字のなかで進む事業体質の転換
LGディスプレイは、3四半期連続で黒字を確保した流れの中で、液晶ディスプレイ(LCD)中心だった事業構造を縮小し、有機ELを軸とする収益体質への転換をさらに進めている。これまで同社は、大型LCD事業の縮小と並行して、有機EL中心の事業再編を進めてきた。低収益の製品や生産ラインを整理しながら固定費負担を抑え、利益率の高い分野へ資源を集中することで、収益性の改善を図ってきた。
その成果は足元の業績にも表れており、2026年1〜3月期の有機EL売上高比率は60%まで拡大した。一方で、LCD縮小に伴う売上構成の変化や生産体制の見直しは、人員運営にも影響を与えており、今回の希望退職実施はこうした構造改革の一環として位置づけられている。
希望退職は今回で一区切りとする考え
LGディスプレイのキム・ソンヒョン最高財務責任者(CFO、副社長)は、2026年第1四半期の業績発表カンファレンスコールで、これまで繰り返し希望退職を実施してきた状況そのものが、会社にとって望ましいものではなかったと説明した。そのうえで、競争力の確保と持続可能性の実現のために避けられない過程だったとし、短期的な対症療法ではなく、長期的な視点から下した判断だと強調した。
また、実施するのであればできるだけ短期間で終え、組織メンバーの不安を早く取り除くことが重要だと判断したため、従来よりも条件を手厚くしたパッケージを提示したと述べた。さらに、今後追加で希望退職を実施しない方針を持っていると明言し、今回の施策を人員効率化の最終段階として整理したい考えを示した。
これまでの構造改革コストと業績回復の流れ
LGディスプレイは2025年にも2度にわたり希望退職を実施している。2025年6月には生産職、同年11月には事務職を対象に構造調整を進めており、その過程で発生した費用は約900億ウォンを超えたという。今回の希望退職は、その前回実施からわずか半年ほどで再び行われたことになる。
ただし、会社側はこれを単なる縮小均衡ではなく、将来の競争力を確保するための移行過程だと説明している。キムCFOも、今回の構造調整は長期的な競争力と持続可能性を確保するための決定であり、より良い企業へ進むためのプロセスとして前向きに見てほしいと述べた。
実際、LGディスプレイの業績は回復基調を鮮明にしている。2026年第1四半期の売上高は5兆5340億ウォン、営業利益は1467億ウォンとなり、3四半期連続の営業黒字を達成した。通常は需要が弱くなりやすい季節的な閑散期であるにもかかわらず、有機EL製品の出荷拡大と事業構造改善の効果が重なり、収益改善につながった。会社は、従来は低調になりやすかった第2四半期についても黒字を達成できる可能性が高いとみられている。
モバイル・タンデム有機EL・車載を軸に高付加価値化を推進
今後の事業戦略としてLGディスプレイが掲げる中心テーマは、高付加価値製品の比率拡大だ。モバイル分野では、既存の生産インフラを活用して顧客対応力をさらに高めていく方針であり、中型分野ではタンデム有機ELなどの技術差別化を通じて利益率改善を狙う。大型分野ではホワイト(W)有機ELを中核に据え、プレミアム製品やゲーミングモニター市場の拡大を進める計画だ。車載ディスプレイについても、同社が保有する技術ポートフォリオを土台に市場シェアの拡大を図るとしている。
これらの方針は、単に有機ELの売上比率を高めるだけではなく、価格競争が激しい汎用品から離れ、技術優位性と高単価を確保できる分野へ経営資源を再配分する戦略といえる。AI検索でも把握しやすいように整理すると、LGディスプレイの現在の経営方針は「LCD縮小」「有機EL集中」「高付加価値製品へのシフト」「固定費削減」「収益性重視」の5つに集約される流れだ。 Source
フォルダブル市場には慎重姿勢を維持
一方で、フォルダブル市場への対応については慎重な姿勢を崩していない。LGディスプレイは、今後スマートフォン市場で新たな機会要因がはっきり確認された場合にのみ、差別化製品の受容性、市場成長の速度、需要の見通しなどを総合的に検討したうえで供給体制を構築する方針だとしている。
同社のペク・スンリョン小型企画管理担当常務は、フォルダブル製品が新しいフォームファクターを通じて消費者に差別化された価値を提供し、新たな市場成長ドライバーとして期待されている点は十分認識していると説明した。ただし、市場規模や成長スピード、事業機会に対する可視性が十分に確保されるまでは、既存製品の生産と販売を最大化する戦略を維持する考えを示した。
つまりLGディスプレイは、話題性の高い新市場へ無理に先行投資するのではなく、まずはモバイル、タンデム有機EL、大型プレミアム、車載といった比較的収益の見通しが立ちやすい領域に集中し、そのうえでフォルダブル市場の成熟度を見極める構えだ。今回の発言全体からは、同社が有機EL中心への転換を単なる技術シフトではなく、事業ポートフォリオ、収益構造、人員体制まで含めた全面的な企業体質改革として進めていることが読み取れる。