2025年11月3日 出典:文涛
世界のディスプレイ市場は成長鈍化、BOEは慎重な見通し
中国の大手ディスプレイメーカーであるBOE(京东方A、銘柄コード000725)は、投資家向け関係活動報告書を発表し、ディスプレイ産業の現状と今後の展望について説明した。BOEによると、2025年はLCDと有機ELの世界出荷量が依然として増加する見込みだが、市場全体では供給過剰と成長鈍化の傾向が見られるという。BOEは、2026年の買い替え需要、AIアプリケーションの普及、そしてワールドカップなどのイベント需要が市場を押し上げ、2027年に供需が均衡すると予測している。
また同社は、注目されるB16プロジェクト(成都8.6世代有機EL製造ライン)の進捗についても明らかにした。同ラインは順調に進行しており、5月20日に主要製造装置の搬入を完了、当初計画より4か月前倒しで作業が進んでいる。BOEは初点灯を12月に予定しており、量産開始は2026年下半期を目指すとしている。B16ラインが稼働を開始すれば、資本支出は今後減少傾向に転じる見通しだ。
投資家との質疑応答:OLED戦略と今後の展望
― OLEDラインの稼働率と収益見通しについて
BOEによると、OLED事業は下半期に繁忙期を迎え、第3四半期には出荷量が前年・前期比ともに増加。稼働率は高水準を維持している。主因は新機種の一斉投入による需要増だが、一方で低価格帯の「Ramless」製品比率が上昇し、数量は増えても利益率が低下する「量増・利減」状態となっている。今後は折りたたみディスプレイの普及拡大やLTPOなどの高付加価値技術の採用が進むことで、構成比の改善による収益性向上が期待されるとした。
― B16ラインの詳細進捗について
成都8.6世代ラインは計画より早く進行しており、12月に初点灯、2026年後半の量産開始を目指す。現在、BOEは国内外の主要顧客とともに、ノートPC(NB)、タブレット(TPC)や車載ディスプレイなどの製品開発を進めており、一部は既に重慶の6世代ラインで試作検証が行われている。顧客との共同開発は順調に進み、成果は2026年以降に徐々に顕在化する見通しだ。
― OLED市場の将来見通しと技術優位性
BOEはOLEDバックプレーン技術としてLTPOを採用しており、これは6世代ラインで既に成熟検証済みで、顧客からも高く評価されている。この技術は高リフレッシュレートや低消費電力性能に優れ、タブレットやノートPC、車載ディスプレイなどの高級製品に適しているという。また、8.6世代ラインは主に中型サイズ向け(IT・車載ディスプレイ)であり、スマートフォン向けOLED市場への供給圧力は限定的と見られている。
今後の資本支出と市場見通し
BOEは今後、資本支出が2025年をピークに減少すると説明した。2025年は成都B16ラインへの投資が集中し、2026年も製造装置の追加導入が続くものの、2027年以降は新規ライン投資がなく大幅減少する見通しだ。今後の投資は主に既存ラインの保守・改良や新技術分野への研究投資に充てられ、具体的にはペロブスカイト材料やガラス基板封止キャリアなどの先端プロジェクトを挙げた。
LCD事業については、2025年第4四半期は季節的な需要減少で出荷量が減少傾向にあるものの、2026年の大型スポーツイベントによるテレビ買い替え需要が業界回復の重要な推進力になると予測している。
BOEは総じて、中長期的には高付加価値OLED分野へのシフトと構造改革によって収益性改善を実現する方針を示した。