2025年10月30日/出典:UBI Research
プレミアムEV市場で急拡大する車載用OLED
世界の自動車ディスプレイ市場において、有機EL(OLED)の存在感が急速に高まっている。UBIリサーチが発表した「第4四半期ディスプレイ・マーケットトラッカー」によると、2024年の車載用OLEDディスプレイの出荷台数は約250万台に達し、2025年は第3四半期までの累計で既に約270万台に達したという。
パネルメーカー別のシェアでは、サムスンディスプレイが171万台(64%)で圧倒的首位を維持。続いてBOE(京东方)が57万台(21%)を占め、LGディスプレイが22万台(8%)、エバー・ディスプレイが18万台(7%)と、いずれもプレミアム車を中心に市場拡大を続けている。
こうした成長の背景には、プレミアム電気自動車(EV)メーカーによるOLED採用の拡大がある。最近ではポルシェが年末発売予定の新型「カイエン・エレクトリック」に大型曲面OLEDディスプレイを搭載すると発表したことが象徴的だ。
このモデルには42インチの曲面OLEDディスプレイが採用され、運転席用クラスターディスプレイ(14.25インチ)、中央情報ディスプレイ(CID、12.25インチ)、助手席用ディスプレイ(CDD、14.9インチ)の3画面構成となる。
主要サプライヤー:サムスン、LG、BOEが競合
12.25インチの中央曲面OLEDは、LGディスプレイまたはサムスンディスプレイのいずれかが供給する見通しだ。両社はすでにAudiやMercedes-Benzなど欧州の主要プレミアムブランドに車載用P-OLED(Plastic OLED)ディスプレイを供給した実績があり、技術信頼性と曲面加工能力に強みを持つ。
一方、クラスターディスプレイおよびCDDはBOEが供給する可能性が高い。BOEは2024年からOLEDメーターパネルの量産を開始し、ポルシェの親会社であるフォルクスワーゲングループに納入している。これにより、同社はグローバル・プレミアムOEM向け供給網を急速に拡大している。
このように、OLEDは従来のLCDベース車載ディスプレイを置き換えつつあり、プレミアムブランドのデザイン差別化やユーザー体験の向上を支える中核技術として位置づけられている。
自発光構造に基づく高コントラスト比・深いブラック表現・柔軟な曲面実現といった特長は、EVや高級車にとって特に重要な要素である。さらに、運転席と助手席を分けたマルチディスプレイ構成、曲面インターフェース、デジタルクラスター統合設計といった次世代HMI(Human-Machine Interface)トレンドにも最適化されている。