LGディスプレイがeLEAP導入を検討、大型有機EL生産ライン拡張は来年にも開始の可能性


日付:2026年4月22日

出典:Perfect Display

 

LG Displayの投資検討が本格化、大型有機ELの次世代生産技術に関心

韓国メディアの4月14日付報道によると、LG Displayは大型有機EL生産ラインの一部にeLEAPプロセスを導入する投資計画を策定しているとされます。投資規模は比較的小さい見通しで、最終的な投資判断は今年末ごろに下される可能性があります。計画が確定した場合、LG Displayは北米の主要顧客によるIT製品向け需要に対応するため、このeLEAPプロセスを活用する公算が大きいとみられています。業界では、競合各社が第8.6世代有機ELラインへの投資を加速させる中、LG Displayでも新技術投資の必要性に対する社内認識が一段と強まっていると受け止められています。

 

業界関係者によれば、LG DisplayはeLEAP方式を用いて大型有機ELパネルを製造するため、生産ラインの一部を拡張する案を検討しています。最終投資判断は2025年末までに行われる見込みで、ライン拡張は早ければ来年にも始まる可能性があります。計画中のeLEAPベース大型有機ELラインの月間処理能力は約7500枚基板規模とされ、量産主力ラインというよりは比較的小規模な構成です。もっとも、eLEAP技術はまだ量産面で十分に実証されたとは言い切れないため、このラインは当面、パイロットラインあるいは実証ラインとして整備される可能性が高いとみられています。

 

LG Displayは今年の投資予算を約2兆ウォンと示していましたが、昨年からすでに実施済みの投資分を除くと、2025年の実質的新規投資額は約1.5兆ウォンになると推定されています。業界では、この資金の一部がeLEAP関連プロジェクトへ配分されるとの見方が広がっています。これは、既存ラインの高度化を通じて投資負担を抑えつつ、将来の大型IT向け有機EL需要へ備える戦略として注目されています。

 

LGディスプレイのパジュ事業場全景。(写真=LGディスプレイ)
LGディスプレイのパジュ事業場全景。(写真=LGディスプレイ)

 

eLEAPとは何か、FMMを使わない大型有機EL新技術の特徴

eLEAPはジャパンディスプレイが提案した技術で、赤・緑・青の各画素を蒸着する際に、従来のFine Metal Mask(FMM)ではなくOpen Metal Mask(OMM)を使う方式です。LG Displayは約3年前からこのeLEAPプロセスの評価を始めていたとされ、昨年には大型有機ELラインで高付加価値のIT向け有機ELパネルを量産できるかどうかについても検証を進めていたと伝えられています。

 

この技術の最大の特徴は、FMMを使わないことで開口率、すなわち1画素内で実際に発光に使える面積の比率を高められる点にあります。理論上は、輝度を最大2倍に高め、寿命を3倍以上に延ばせる可能性があるとされます。もし商用化に成功すれば、高品質な大型有機ELパネルをより高効率で生産できる道が開けることになります。大型有機ELの性能向上と生産効率改善の両面を狙えるため、eLEAPは次世代有機EL製造技術として市場で強い関心を集めています。

 

一方で、理論的な優位性があるからといって直ちに本格量産へ移行できるわけではありません。量産工程では歩留まり、装置安定性、生産コスト、品質均一性など複数の課題を越える必要があります。そのため、今回検討されている小規模ラインは、単なる増産投資ではなく、eLEAPの量産適用性を見極めるための戦略的な検証投資という性格が強いと考えられます。

 

Apple需要とサムスンディスプレイ対抗が後押し、2030年を見据えた事業ロードマップ

eLEAP投資計画が承認された場合、LG Displayは2027年に量産準備へ着手する方針とされ、2030年からはIT向け有機ELなどの高付加価値製品へこのプロセスを本格適用するロードマップも作成していると報じられています。市場では、この生産ラインの主要顧客がAppleになるとの見方が広がっています。Appleは2024年に有機EL版iPadを投入した後、MacBookやiMacのような主要IT製品向けパネルも段階的に有機ELへ移行する計画を進めているとされており、LG Displayにとっては中長期の大型受注機会につながる可能性があります。

 

こうした動きの背景には、サムスンディスプレイなどの競合企業が第8.6世代有機EL投資を急速に進めている現実があります。業界では、LG Displayが競争力維持のために新技術投資を検討していると解釈されています。完全な新設ラインを立ち上げる場合と比べると、eLEAPの採用は投資負担をやわらげながら技術競争に追随できる現実的な選択肢と見なされています。

 

業界関係者の一人は、まずラインを構築したうえで、長期的に歩留まりを改善しながら量産化を進めていく可能性があると述べています。さらに、最終投資判断は今年下半期の取締役会に委ねられるものの、投資の必要性についてはすでに社内で強い共通認識が形成されているとの見方も示されました。今回の報道は、LG Displayが大型有機EL市場で今後も存在感を維持できるかどうかを占ううえで重要なシグナルといえます。特に、大型有機EL、IT向け有機EL、eLEAPプロセス、Apple向けパネル供給、サムスンディスプレイとの競争という複数のテーマが重なっており、今後の設備投資と量産技術の進展が業界全体に大きな影響を与える可能性があります。