サムスンディスプレイとLGディスプレイ、SID 2026で次世代有機EL技術を公開


日付:2026年5月6日

出典:The Elec

 

SID 2026で韓国ディスプレイ大手2社が次世代技術を公開

サムスンディスプレイとLGディスプレイは、米国ロサンゼルスで開催される国際情報ディスプレイ学会(SID)の「ディスプレイウィーク 2026」に参加し、次世代ディスプレイ技術を公開した。

 

サムスンディスプレイは、5月5日、米カリフォルニア州ロサンゼルス・コンベンションセンターで5日から7日まで開催される「ディスプレイウィーク 2026」展示会に出展すると明らかにした。同社は「AIによって拡張されるディスプレイ革新」をテーマに掲げ、スマートフォン向け有機EL、センサー有機EL、電界発光量子ドット(EL-QD)、ストレッチャブルディスプレイなどの新技術を紹介する。

 

LGディスプレイも同じイベントで次世代有機EL技術を公開した。LGディスプレイは「AI時代に向けた有機ELの進化」をテーマに展示空間を構成し、タンデム白色(W)有機EL、タンデム有機EL、革新技術の3つのテーマゾーンで、大型、中小型、車載向け有機EL製品を展示する。

 

サムスンディスプレイ、3000ニット広色域有機ELと500PPIセンサー有機ELを公開

サムスンディスプレイは、スマートフォン向け有機EL技術「Flex Chroma Pixel」を初公開する。この技術は、高輝度モード基準で最大画面輝度3000ニット、BT.2020色域96%以上をサポートする。次世代発光素子である燐光増感型蛍光(PSF)と、偏光板を内蔵した低消費電力・高輝度技術「LEAD」を適用した。BT.2020は、国際電気通信連合がUHDおよびHDR放送向けに策定した色空間標準である。

 

さらにサムスンディスプレイは、6.8インチのスマートフォンサイズ画面に500PPI(1インチ当たりの画素数)の解像度を実装したセンサー有機ELディスプレイも公開する。これは昨年のSIDで公開した374PPI製品より解像度を33%高めた製品だ。センサー有機ELは、有機EL素子と有機フォトダイオード(OPD)を蒸着してパネルに内蔵した技術であり、画面から出る光を利用して血流量を測定し、心拍数や血圧などの健康情報を確認できる。

 

サムスンディスプレイが「SID 2026」展示会で披露する500PPI高解像度の「センサー有機ELディスプレイ」。指を当てると血流量をもとにユーザーの健康情報を測定する。(写真=サムスンディスプレイ)
サムスンディスプレイが「SID 2026」展示会で披露する500PPI高解像度の「センサー有機ELディスプレイ」。指を当てると血流量をもとにユーザーの健康情報を測定する。(写真=サムスンディスプレイ)

 

今回公開されるセンサー有機ELには、サムスンディスプレイのプライバシー保護技術「Flex Magic Pixel」も適用された。従来のプライバシー保護ディスプレイが側面視野を遮断し、横から見ると黒い画面に見える方式だったのに対し、この製品はピクセル駆動方式を変更することで、側面から見た際に主要情報だけが見えないようにした点が特徴だ。

 

またサムスンディスプレイは、電界発光方式の量子ドットディスプレイであるEL-QD製品も展示する。EL-QDは有機ELを使わず、電気信号によって量子ドットピクセルを直接発光させる方式だ。今回の展示では、500ニット輝度の18インチ製品と、400ニット輝度の6.5インチ製品が公開される。両製品とも昨年比でそれぞれ25%、33%輝度が向上した。量子ドット構造の最適化に向けた表面処理と粒子間距離の制御により、安定性と発光効率を高めたという。関連する研究成果はSIDの「今年の優秀論文」に選定された。

 

ストレッチャブルやマイクロLEDなど、サムスンの次世代展開

サムスンディスプレイは、車両用メータークラスター形態のストレッチャブルディスプレイも公開する。この製品は、昨年のSIDで公開した120PPI製品より約67%高い200PPI解像度を実現した。マイクロLEDベースの製品であり、走行状況に応じて速度計画面が伸びたり変形したりしながら、テキストやグラフィックを表示する。ブリッジ構造内のピクセル密度を従来比2倍に高め、高解像度製品を実現した。

 

イ・チャンヒ サムスンディスプレイ最高技術責任者(CTO)は、継続的な研究開発によってディスプレイ革新を主導し、顧客と市場をリードする技術的な羅針盤の役割を果たしていくと述べた。

 

LGディスプレイ、車載・ロボット・IT向けに第3世代タンデム有機ELを展開

LGディスプレイは今回の展示で、第3世代タンデム有機EL技術を初公開する。タンデム有機ELは、有機EL素子を積層することで長寿命、高輝度、低消費電力性能を高める技術である。LGディスプレイは2019年にタンデム有機ELを商用化し、2023年には第2世代タンデム有機ELを量産している。

 

今回公開された第3世代タンデム有機ELは、車載向けに設計された。1200ニットの輝度で、常温基準で1万5000時間以上駆動しても画面劣化が起きない耐久性を確保したという。従来比で消費電力は18%削減し、寿命は2倍以上に向上した。LGディスプレイは、正孔と電子の移動を最適化することで劣化現象を抑え、ディープブルーのドーパント材料を適用して色純度、色再現率、高輝度、低消費電力、長寿命の特性を高めた。車載向け第3世代タンデム有機ELは、年内に量産を開始する予定だ。

 

LGディスプレイは、ヒューマノイドロボット向けのプラスチック(P)有機EL製品も初公開する。この製品には車載向けタンデム有機EL技術が適用された。P-有機ELはデザイン自由度が高く、ヒューマノイドメーカーごとに異なるロボットデザインへの対応が可能だという。

 

LGディスプレイが「SID 2026」で83インチ有機ELテレビパネルを展示する。(写真=LGディスプレイ)
LGディスプレイが「SID 2026」で83インチ有機ELテレビパネルを展示する。(写真=LGディスプレイ)

 

大型有機EL製品も展示される。LGディスプレイは「プライマリーRGBタンデム2.0」を適用した有機ELテレビパネルを公開する。このパネルは最大輝度4500ニットと、0.3%水準の超低反射率を実現した。また、SIDの「今年のディスプレイ」に選ばれた27インチ720ヘルツ(Hz)有機ELパネル、39インチ5K2Kカーブド有機ELパネル、5K・220PPI解像度の27インチ有機ELパネルも披露する。

 

IT向け製品としては、AIノートPCに適用できる16インチのタンデム有機ELが公開される。この製品は従来の有機ELに比べて厚さと重量を抑えながら、低消費電力性能によってバッテリー駆動時間を2.3時間延ばせるとしている。

 

車載ディスプレイ製品も展示される。LGディスプレイは、運転席から助手席まで一体化してつながる57インチのピラー・トゥ・ピラー(P2P)パネルと、天井に巻き取られた状態から使用時に下りてくる32インチのスライダブル有機ELを、コンセプトカー形式で展示する。

 

チェ・ヨンソク LGディスプレイ最高技術責任者(CTO)は、顧客を最優先の価値に据え、技術中心企業として未来のディスプレイ市場を主導する技術リーダーシップを構築していくと述べた。