中国ディスプレイ素材・パネル企業、相次ぐ上場ラッシュで競争力強化へ


2026年7月8日

出典:ET News

 

中国において、ディスプレイパネルおよび素材企業が相次いで株式上場を実施し、資金調達を通じて競争力の強化を図る動きが顕著になっている。業界では、これらの上場ラッシュが中国ディスプレイ産業全体の技術力向上とエコシステムの強化につながるものとして注目されている。

 

有機EL素材企業サマースプラウト、科創板上場を承認

業界によると、2026年7月8日、中国・上海証券取引所は有機EL材料企業であるサマースプラウト(Summer Sprout Technology)の科創板(STAR市場)への上場申請を正式に承認した。科創板は、中国版の技術特例上場に相当し、成長性の高いハイテク企業の資金調達を支援する市場として位置付けられている。同社は、HIL、HTL、EBL、ETL、ホスト材料および発光材料を含む、有機ELスタック材料のほぼすべてを開発している。

 

サマースプラウトは今回の上場により約6億元(約130億円)を調達する計画である。調達資金は、有機EL素材の研究開発、製造プラットフォームの改修および拡張、北京本社および研究開発センターの建設、さらに運転資金の拡充に充てられる予定だ。

 

中国サマースプラウト本社の全景〈写真 サマースプラウト公式サイト〉
中国サマースプラウト本社の全景〈写真 サマースプラウト公式サイト〉

 

HKC、深セン上場で次世代ディスプレイ投資を加速

一方、2026年6月には中国第3位の液晶ディスプレイ(LCD)パネルメーカーであるHKCが、深セン証券取引所に上場した。HKCは大型LCDパネル分野に強みを持つ企業として知られている。

 

HKCは上場により約85億元(約1900億円)を調達し、そのうち75億元を次世代ディスプレイ関連プロジェクトに投資する方針である。具体的には、長沙における新型有機ELの研究開発高度化プロジェクトに25億元、酸化物(Oxide)技術の開発および産業化プロジェクトに30億元、さらに綿陽でのミニLEDスマート製造プロジェクトに20億元を投入する計画である。

 

有機EL進出と中国内エコシステム強化の動き

HKCは有機EL分野への進出も積極的に進めている。第6世代有機ELラインへの設備投資に向け、地方政府からの支援確保を進めており、中国国内の製造装置メーカーとも緊密に連携しているとされる。同社は第6世代ガラス基板をハーフカットせずにそのまま蒸着する「ノーカット蒸着方式」の導入を検討している。この投資は2026年第3四半期に正式発表される見込みだが、資金調達の進捗によっては遅延の可能性も指摘されている。

 

業界関係者は、「中国のディスプレイ企業が相次いで上場している背景には、投資を通じた技術力の強化がある」と指摘する。また、「中国ではスマートフォン、ディスプレイ、素材・部品企業が国内需要を相互に喚起しながら、独自の産業エコシステムを構築している」と分析している。