日付:2026年4月6日
出典:中国メディア報道(SemiDisplayView)
BOEは投資家向け説明会を開催し、会長の陳炎順氏、CEOの馮強氏ら経営陣が出席して2025年の業績総括および2026年の戦略方針を詳細に説明した。説明会では、LCDおよび有機ELの需給動向や価格変動、出荷量、製造装置投資、収益性、さらには経営陣の世代交代や特許訴訟問題に至るまで、投資家の関心が高いテーマに包括的な回答が示された。世界最大級のディスプレイメーカーとしての安定基盤と、構造転換に向けた強い意思が改めて強調された。
2025年業績:出荷増でも「量増価減」が収益を圧迫
BOEは2025年においてもディスプレイ分野で世界トップの地位を維持し、スマートフォン、タブレット、ノートPC、モニター、テレビの主要5分野すべてでLCD出荷量が世界首位を記録した。売上高は前年比3%増を確保し、ディスプレイ事業単体でも約1664億元とわずかながら成長を維持した。
しかしその内訳を見ると、LCDは出荷量が8%増加し売上も5%増となった一方、有機ELは出荷量が8%増加したにもかかわらず、平均販売価格の下落により売上は10%減少した。BOEはこの状況について、事業の停滞ではなく「量増価減」が主因であり、特に2025年下半期に価格下落が顕著だったと説明している。
2026年第1四半期に入ると需給は比較的安定し、LCD価格には下げ止まりと回復の兆しが見え始めている。BOEは2026年の市場について慎重ながらも楽観的な見通しを示した。また、IoT関連事業は新たな成長エンジンとして急成長しており、2025年には売上389.49億元、前年比15%増を達成し、事業ポートフォリオの多角化が進んでいる。
OLED事業の課題と収益改善への取り組み
収益面では、有機EL事業が依然として大幅な赤字を計上していることが明らかにされた。その要因として、精益管理、材料コスト管理、製品開発、品質管理など複数の分野で改善余地があった点が挙げられている。
これに対しBOEは2025年下半期から組織改革やプロセス改善、技術革新、人材強化を進めており、すでに一定の改善効果が現れていると説明した。2026年にはさらに品質改善や製造プロセスの高度化、開発効率の向上を推進し、有機EL事業の収益性を大幅に改善する方針である。
市場動向:LCD・OLEDともに需給と価格は不安定要因を抱える
2026年の市場環境について、BOEはメモリ価格の上昇と供給不足がLCDおよび有機EL双方に影響を与えていると分析している。LCDではテレビ向けを除き需要減少が見込まれ、ブランド各社は出荷計画を保守的に設定している。価格動向としては、テレビ用パネルは第1四半期にスポーツイベント需要などで上昇したが、第2四半期には上昇幅が縮小し横ばいとなる見通しである。モニターは第1四半期に需要が維持され価格上昇圧力があったものの、第2四半期にはテレビ市場の影響を受けて上昇が抑制される見込みであり、ノートPC向けは第1四半期に下落後、第2四半期以降は安定すると予測されている。
一方、有機ELでは世界的な景気減速とメモリ価格上昇の影響により、スマートフォン向けフレキシブル有機ELの成長は鈍化すると見られている。2025年の需要は約6億6800万枚、2026年は約6億7500万枚と小幅な増加にとどまる見通しである。価格については四半期ごとの変動が予想され、上半期は需要低迷と注文減少により下落圧力が強まり、下半期にかけて徐々に安定する構図となる。
出荷目標と中長期戦略:IT向けOLED拡大と経営継承
BOEの陳炎順会長は、有機EL出荷について2025年に1億5000万枚を超えたものの、特許訴訟リスクや補助金政策の制約、内部管理の課題により成長が想定を下回ったと説明した。特に特許問題は海外顧客の発注判断に影響を与え、受注拡大の制約要因となった。
2026年はスマートフォン市場全体が縮小する厳しい環境の中でも、有機EL出荷量を1億6000万枚へ拡大する目標を掲げている。さらに2028年には2億枚を超える水準を目指すとしており、中長期的な成長に強い意欲を示した。
また、第8.6世代ライン2本の投資に関しては、IT分野での有機EL需要拡大が十分に支えになるとの認識を示した。タブレットでは有機EL採用率が2025年の約4%から2028年には9%へ、ノートPCでは5%から14%へと大幅に上昇する見通しであり、2026~2027年が市場拡大の転換点になると分析している。
さらに経営体制については、創業以来構築してきた戦略・人材・リスク管理の各体系により、トップの引退があっても経営方針は継続されると強調した。すでに若手経営陣への世代交代が進んでおり、「ディスプレイ+IoT」を軸とした成長戦略のもとで企業価値の向上を目指すとしている。
加えて株主還元についても積極姿勢を示し、配当の継続的な引き上げや自社株買いを通じて資本効率の改善を図る方針を明らかにした。2026年には新たにA株およびB株の自社株買いを実施し、1株当たり利益の向上と株主価値の最大化を目指すとしている。