Omdia:2026年の世界ノートPC向け有機ELディスプレイ市場は40億ドル規模へ


日付:2026年6月4日

出典:Omdia

 

AppleのMacBook Pro採用が市場拡大を後押し

市場調査会社Omdiaは、Appleの有機EL搭載MacBook Proの投入見通しを追い風に、2026年の世界ノートPC向け有機ELディスプレイ市場規模が40億ドルに達するとの予測を示した。日本円や人民元に換算しても非常に大きな市場となり、ノートPC向け有機ELが本格的な成長局面に入ることを印象づける内容となっている。とりわけAppleの新型MacBook Proシリーズが市場拡大の起点になるとみられており、同社の採用判断がサプライチェーン全体に与える影響の大きさが改めて浮き彫りになった。 

 

Omdiaによれば、Apple向けでは2026年7月からサムスンディスプレイが14.3インチおよび16.3インチのMacBook Pro向け有機ELパネルを供給し、製品は2026年第3四半期に発売される見通しだ。これにより、これまでスマートフォン中心に拡大してきた有機EL需要が、ノートPCやタブレットなどIT機器向けへと本格的に広がる流れが加速するとみられる。ノートPC市場では、薄型化、軽量化、低消費電力化、高画質化への要求が年々強まっており、有機ELディスプレイはこうした需要に合致する次世代表示技術として存在感を高めている。 

 

2033年には115億ドルへ、IT向け有機ELの成長軸に

Omdiaはさらに、世界のノートPC向け有機ELディスプレイ市場の売上高が2033年には115億ドルへ拡大し、OLEDディスプレイ全体売上高の約16.2%を占めると予測している。これはノートPC向け有機ELが、単なる新製品カテゴリーではなく、IT向けディスプレイ市場を支える主要な成長分野へ発展していくことを意味する。従来、ノートPC向け有機ELの多くは中価格帯スマートフォン向けに近いリジッドOLED技術が中心だったが、今後はより高性能な技術構成への移行が進む見通しだ。 

 

特に注目されるのが、AppleがMacBook Pro向けに採用するとされるハイブリッド有機EL技術である。Omdiaは、酸化物TFTとRGBタンデムOLED技術を組み合わせたこの方式について、従来のLTPOや単層RGB OLEDと比べて消費電力の低減に寄与すると説明している。加えて、回路やバッテリーのためのスペースを効率よく確保できるため、ノートPCのさらなる薄型化と軽量化にもつながる可能性が高い。こうした特性は、性能と携帯性の両立が重視されるモバイルPC市場において大きな競争力となる。

 

またOmdiaは、ノートPC向け有機ELの製造技術も多様化していくとみている。既存の精密金属マスク方式に加え、インクジェット印刷やファインフォトリソグラフィックマスクなど、大画面有機ELの生産効率向上を狙う新たなパターニング技術の開発が進んでいる。バックプレーン、基板、パターニング方法の組み合わせが今後さらに広がることで、ノートPC向け有機ELディスプレイは性能面だけでなくコストや量産性の面でも競争力を強めていく見込みだ。