2025年11月14日/出典:SemiDisplayView
1. サムスン電子が印刷方式有機ELの可能性に言及
サムスン電子の孫泰镛(ソン・テヨン)副社長は、華星光電(CSOT)が推進するインクジェット印刷方式の有機ELについて、「有望な選択肢の一つになり得る」と述べた。
華星光電は昨年11月から 5.5世代印刷方式有機EL製造ラインで21.6インチ医療用ディスプレイを量産しており、先月には 8.6世代印刷方式有機EL製造ライン(T8)の起工式を実施した。現在、印刷方式有機ELを量産し、かつ8.6世代への投資を進めているのは同社のみである。
同日、中国・蘇州で開かれた DTC 2025(華星光電 年度大会)で、孫副社長は量産の実現性を問われ、「サムスン電子は完成品メーカーであり、独自のパネル技術を保有していないため、量産性を直接評価することは難しい」とした上で、「だが、華星光電の説明のように、印刷方式有機ELが高解像度と低消費電力で優れるのであれば、有望な選択肢だと言える」と付け加えた。
サムスン電子では、MX部門:スマートフォン・タブレット・ノートPC、VD部門:テレビ・モニター、が担当しており、VD部門のOLEDモニターはすべてサムスンディスプレイのQD-OLEDを採用している。QD-OLEDは色再現性でLGディスプレイのW-OLEDより優れているためである。
また、T8起工式で華星光電は、「印刷方式有機ELはまず中型ディスプレイ(モニター、ノートPC、タブレット)に投入し、のちに高付加価値分野へ拡大する」と発表した。
2. CSOTの技術戦略をTCL創業者が強調
DTC会場では、TCL創業者で董事長の李東生がメッセージを寄せた。「12年にわたる継続的な投資と技術的な努力によって、TCL華星は印刷方式有機ELで中核技術の優位性を確立した。今後、より多くのパートナーとともに印刷方式有機ELの実用化を推進したい」と述べ、グループとして印刷技術への注力姿勢を明確にした。
孫副社長は今回が初めてのDTC参加であり、展示会場では華星光電幹部から印刷方式有機EL技術の説明を受け、随行したサムスン電子幹部らと意見交換を行った。
3. LG電子も慎重ながら関心を示す:液晶パネル調達にも変化
同じくDTCに参加した LG電子の白善弼(ペク・ソンピル)上級副社長は、印刷方式有機ELについて次のように述べた。「技術の成熟まで、まだ見極めが必要だ」、量産性についての質問に対しては、「華星光電は段階的に印刷方式有機EL製品を投入している」とコメントした。
LG電子は以前、日本のJOLEDから印刷方式パネルを調達していたが、特性や歩留まりの問題により LGディスプレイのW-OLEDへ切り替えた。W-OLEDは印刷方式ではない。また、「DTC出席は華星光電からのテレビ用液晶パネル調達増加のサインなのか」との質問には、「調達は購買部門が判断している」としつつも、「LG電子は複数のパネルメーカーから液晶パネルを調達しており、今後も市場を注視する」と述べた。
LG電子はTCLとの競合関係から長らくCSOTパネルの採用を避けてきたが、LGディスプレイが今年3月でテレビ用液晶事業を撤退したため、BOE依存を下げる目的で華星光電からの調達を増やしているとみられる。白副社長も今回が初めてのDTC参加であり、韓国メーカーがCSOTの動向に注目し始めたことを示す象徴的な場となった。