記事日付:2025年12月17日
出典:WitDisplay
次世代青色有機EL材料「ZETPLEX」の成熟
次世代の高効率青色有機EL材料の開発に注力してきたLORDIN社(本社は韓国)は、独自技術である「ZETPLEX」を成熟段階に到達させ、青色燐光有機ELの商業化を現実のものとした。同社は同時に、重要原材料である重水素(デューテリウム)の安定確保と、インドにおける現地生産体制の構築を進めることで、グローバルサプライチェーンの強靭化を加速している。
LORDIN社は12月16日、ZETPLEX発光源技術の権利を取得してから6年を経て、ZETPLEXを用いた青色燐光有機ELデバイスの寿命と商業的実現性を正式に確認したと発表した。これは、高効率青色有機EL分野において長年課題とされてきた技術的ハードルを乗り越える重要な成果と位置付けられる。
高効率と長寿命を両立するZETPLEX技術
ZETPLEX技術の大きな特長は、従来であれば4成分系が必要とされてきた高効率青色発光層を、2成分系構造で実現できる点にある。LORDIN社によれば、最近製造された有機ELデバイスでは外部量子効率(EQE)が20%を超え、デバイス寿命も既存の青色燐光デバイスの約60%にまで延長されたという。
この技術は、発光材料の蒸着温度を大幅に低下させるとともに、駆動電圧の改善や高輝度時の効率低下(ロールオフ)の抑制にも寄与する。これにより、パネルメーカーは製造プロセスを簡素化でき、歩留まり向上も期待される点で、実用化上のメリットが大きいとされている。
インドを軸とした供給網と量産体制の構築
技術的進展に加え、LORDIN社は「インド・サプライチェーン」の確立にも成功し、材料の現地生産と大規模かつ安定した供給体制を実現した。すでにインドの提携先から、高純度有機ELプロセスに不可欠な重水の初回供給を受けており、現在は第2次供給契約についても協議を進めている。この契約は、韓国の民間企業としては最大規模となる見通しで、原材料供給の不安定さを解消するとともに、価格競争力の確保を狙う。
さらにLORDIN社は、生産拠点の整備にも踏み切った。インド・テランガナ州ハイデラバード市において、有機EL材料および重水素化材料を製造する工場を取得し、年産能力を拡大する計画である。この工場は、単なる試験生産ラインを超え、世界のパネルメーカー向けに大規模なサンプル評価や量産試験を行う前線拠点として位置付けられている。
商業化を見据えた次の展望
LORDIN社は「既存の燐光技術を延長することが目標ではなく、現在商業化されている蛍光青色材料を寿命面で上回る次世代材料の開発を目指している」と強調している。
一方で、ローマン半導体コリア(Rohmann Semiconductor Korea)も、韓国産業通商資源部の材料・部品技術開発プロジェクトの支援を受けて関連研究を進めており、現在は技術の商業化と製造装置投資に向けて、グローバルなベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達を進行中である。青色燐光有機ELの実用化を巡る動きは、今後さらに加速していくとみられる。