【人物インサイト】イ・テウS&Display代表、「ペロブスカイトの“寿命の壁”を突破…商用化カウントダウン」


発行日:2026年7月12日

出典:ET News

 

「ペロブスカイトディスプレイは、単なる研究室レベルを超え、いよいよ本格的な商用化の入口に到達した。最大の課題だった“寿命(信頼性)”も量子ドット(QD)水準まで引き上げることに成功した。」

 

S&Displayのイ・テウ代表は、次世代ディスプレイのゲームチェンジャーとして注目されるペロブスカイト技術において、最大のボトルネックは「寿命」にあると指摘してきた。そして今回、その壁を事実上克服したことで、産業化が現実段階に入ったと強調する。

 

ペロブスカイト研究の第一人者が示す突破口

イ・テウ代表は、ペロブスカイト発光素子分野における世界的権威であり、ソウル大学材料工学部教授であると同時に、教員発ベンチャーであるS&Displayの代表として研究と事業化の両面を牽引している。

 

2026年初頭には、世界的学術誌「Science」と「Nature」にペロブスカイト素子関連の研究論文を同時掲載するという成果を挙げ、さらに最近では高効率かつ長寿命を実現する蒸着技術の開発にも成功している。

 

イ・テウS&Display代表(ソウル大学材料工学部教授)
イ・テウS&Display代表(ソウル大学材料工学部教授)

 

最大の課題「寿命(信頼性)」の克服

ペロブスカイトディスプレイは高効率・低コストといった利点から次世代有機EL(OLED)を超える可能性を持つとされるが、これまで実用化を阻んできた最大の要因が寿命の短さだった。

 

イ代表はこの問題に対し、材料設計とプロセス技術の両面からアプローチを行い、発光効率を維持しながら寿命を飛躍的に改善することに成功したと説明する。その結果、信頼性は既存の量子ドットディスプレイに匹敵する水準に到達したという。

 

商用化に向けた量産技術と産業インパクト

今回の技術進展により、ペロブスカイトディスプレイは研究段階から量産準備段階へと移行しつつある。特に蒸着プロセスの高度化は、大面積化や量産適用に直結する重要な要素であり、ディスプレイ産業全体に大きな影響を与える可能性がある。

 

S&Displayは今後、製造装置企業やパネルメーカーとの連携を強化しながら、実際の製品化に向けた検証と量産技術の確立を進める計画である。

 

次世代ディスプレイ競争の新たな軸

ペロブスカイト技術の商用化が現実味を帯びることで、有機EL(OLED)、量子ドット、マイクロLEDに続く新たな競争軸が形成される可能性が高い。特に低コストで高性能なディスプレイ実現が可能になれば、市場構造そのものを大きく変えるインパクトを持つ。

 

イ・テウ代表は「今後は量産性と製品信頼性を同時に確保することが鍵になる」とし、グローバル市場での主導権確保に向けた技術開発を継続する考えを示した。