LGディスプレイ、AI活用で年間2000億円のコスト削減


2026年7月3日

出典:The Elec

 

AI導入による開発・生産効率の抜本的向上

LGディスプレイは、人工知能(AI)を活用した生産および開発体制を拡大することで、年間2000億円以上のコスト削減効果を実現していると明らかにした。

 

同社は7月3日、光学、材料・素子、基板などディスプレイ新技術の開発プロセスにおいて、仮想設計・検証(VDE:Virtual Design & Evaluation)の適用範囲を大幅に拡大していると発表した。VDEは、シミュレーションを通じて仮想空間上に実際の製品と同一条件のパネルを再現する技術であり、試作品を製造することなく設計の最適化や不良発生の可能性を事前に検証できる点が特徴である。

 

試作削減による開発期間短縮とコスト圧縮

ディスプレイパネルの試作品製造には通常約3か月を要するが、設計変更が発生した場合、試作製造および信頼性評価を最初からやり直す必要がある。

 

これに対し、AIベースのシミュレーションを活用することで、多様な条件を事前に検証できるため、開発期間の短縮とともに、数十億円規模に達する試験生産コストの削減が可能となる。この取り組みにより、研究開発(R&D)の効率は大幅に向上し、従来の物理的試作中心の開発プロセスから、デジタル中心の開発体制へと転換が進んでいる。

 

LGディスプレイ坡州事業場の全景(写真=LGディスプレイ)
LGディスプレイ坡州事業場の全景(写真=LGディスプレイ)

 

有機EL製造へのAI適用と品質改善の加速

LGディスプレイは2025年から、有機ELの製造プロセスにも自社開発のAI生産体制を導入している。このAI生産体制は、製造工程で発生し得る異常の原因を自動的に分析し、最適な対応策を提示する機能を備えている。これにより、品質改善に要する期間は従来平均3週間からわずか2日へと大幅に短縮された。同社は「良品生産量の増加により、年間2000億円以上のコスト削減効果を達成した」と説明している。

 

次世代ディスプレイ技術への再投資戦略

LGディスプレイは、AIによって削減したコストと人的リソースを、次世代ディスプレイの基盤技術開発へ再投資する計画である。同社は2025年末に黒字転換を達成しており、2026年の主要課題として、世界トップレベルの技術確保、技術主導のコスト革新、そして全社的なAI転換(AX)の加速を掲げている。

 

AIと有機EL技術を軸とした競争力強化により、LGディスプレイは次世代ディスプレイ市場における主導権の確立を目指している。