サムスンディスプレイ、アップル向けフォルダブル有機ELモジュールの生産を開始


日付:2026年6月22日

出典:The Elec

 

アップルの承認を取得し初期量産へ、ベトナム工場で歩留まり80%超を達成

サムスンディスプレイがアップルからフォルダブルスマートフォン向け有機ELモジュールの生産承認を取得したことが明らかになった。業界によると、同社は承認取得後、ベトナムの後工程ラインの一部を稼働させ、初期ロットの量産に着手した。今年の初期供給量は約300万枚に達する見通しである。

 

これにより、他の部品供給に問題がなければ、アップルのフォルダブルスマートフォンは早ければ今秋にも発売される可能性が高まっている。

 

モジュール生産承認とは、パネルを最終製品メーカーへ供給する前に、最終組立状態での品質や量産安定性を確認する重要なプロセスである。アップルの承認基準は歩留まり70%以上とされており、今回サムスンディスプレイは最終歩留まりが80%を超えたことで、この基準をクリアした。

 

フォルダブル有機ELは3年間の独占供給、ベトナムで後工程を集中生産

サムスンディスプレイはアップル向けフォルダブル有機ELの単独供給企業であり、両社は3年間の独占供給契約を締結している。この契約期間中、アップルは他社のフォルダブル有機ELを採用しない方針である。今年の供給量は初期段階として約300万枚規模と見込まれている。

 

アップル向けフォルダブル有機ELの後工程はベトナム法人が担当している。サムスンディスプレイはフレキシブルディスプレイの後工程を主にベトナムで行っており、一方でリジッドOLEDの後工程は中国の生産拠点を活用している。

 

現在、ベトナムの後工程ラインは全80ラインのうち約50ラインが稼働中であり、今年のアップル向け初期供給に合わせて一部ラインを中心に運用されている。後工程では、前工程で形成された薄膜トランジスタ、発光層、封止層の上に、駆動回路やフレキシブル基板、保護部材などを組み込み、最終的に製品として出荷可能なモジュール状態へ仕上げる。その後、最終検査および出荷前検証を経て顧客へ供給される。

 

CoE技術と最新材料M16を採用、フォルダブル特有の高難度要求に対応

フォルダブルスマートフォンは従来のバータイプスマートフォンと比較して、パネルおよびセット部品に対する要求が大幅に厳しい。画面の繰り返し折り曲げに耐える必要があるため、折り曲げ部の耐久性やシワの抑制、薄型化、モジュール組立精度が極めて重要となる。

 

アップル向けフォルダブル有機ELにはCoE(Color filter on Encapsulation)技術が採用されている。この技術は偏光板を除去し、封止層上にカラーフィルターを形成することで、薄型化と光効率の向上を実現する。

 

また、有機EL材料にはサムスンディスプレイの最新材料セットであるM16が適用される見込みである。M16はフラッグシップスマートフォン向けに開発された最新世代の材料であり、輝度、色再現性、寿命、電力効率のすべてにおいて従来材料より性能が向上している。

 

ヒンジ部品の安定化が鍵、発売時期に影響の可能性

アップルのフォルダブルスマートフォンは9月発売が取り沙汰されており、業界では年内発売の可能性が高いと見られている。ただし、ヒンジなど一部のセット部品の量産安定化が最終的なスケジュールに影響を与える要因となっている。

 

ヒンジはフォルダブルスマートフォンにおいて画面の開閉を担う中核部品であり、折り目のシワや操作感、耐久性に直結する重要要素である。アップル初のフォルダブル製品には3Dプリンティング方式のヒンジモジュールが採用されるが、組立後に不要なノイズが発生する問題が報告されている。この問題は量産スケジュールに対し、約2週間から1か月程度の遅延要因となる可能性が指摘されている。

 

業界関係者は、アップルがヒンジモジュールの量産安定化に苦慮しているとしつつ、サムスンディスプレイ側には特段の問題はなく、最終的な発売時期はアップル側の部品、特にヒンジの準備状況に左右されるとの見方を示している。